仁美はすぐに流川に駆け寄る。
「楓凄い血‥病院行こう。」
泣きながらフェイスタオルで抑えるが流川が仁美の手を払った。

「うるせーな、ほっとけ。」
冷たく言われて、もし他の人ならここで引くだろう。
だけど仁美は引かない。
泣きながら怒った。
「放っておけ訳ないでしょ！」

動き回る流川を捕まえて座らせる。
そして教師に救急車を呼んでくれと頼むが、大事にしたくない学校が選んだのはタクシーだった。
仁美は流川が動かない様に、体全体を使って抱きつく。

泣きながら抱きつかれて、流川はとうとう観念して大人しくなった。
流川の耳元でずっと仁美の嗚咽が聞こえる。
よほど心配しているのはすぐ分かる。
「‥おい、すげぇ見られてるぞ。」

体育館の反対側ではいつの間にか主犯格になっている桜木軍団が教師に怒られている。
乗り込んで来た他校の生徒は、そのまま他の教師によって一旦体育館から出されている。
野次馬で集まって来た生徒達は、その光景より流川と流川に抱きつきながら泣いている仁美の2人に注目していた。

明日からまた何言われるか分かったものじゃない。
しかし。
「そんな事どうでもいい。」
仁美はそう言いながら、タクシーが来るまでずっとそのままで居た。