『‥とどっちが上手だろ‥』

流川はさっきの仁美の言葉を思い出していた。
仁美が自分と比べる程の人物は気になる。
そして今日の仁美は、いつもの仁美と違ってソワソワしている。

時間は17時頃だが、夏なのでまだ外は明るかった。
流川はバスケを切りやめて、先にシャワーを借りた。
流川がシャワーから出ると、近くで花火の空砲の音がした。
今日は花火大会だと思い出す。

大体お盆休みの3日程仁美の家に泊まりに来るが、その内の1日は花火大会があった。
小学生の頃は、母親達と一緒に見に行ったりした。

流川が宴会場に向かうと、小さい子供達が花火大会へ行く準備をしていた。
その輪の中に仁美も居た。
「楓も久しぶりに花火大会行こうよ。」
流川を見つけると、仁美は楽しそう聞いた。

あまり人の多い場所は好きでは無いが、仁美が、行くなら行ってみようと珍しくそう思った。

先頭に小さい子供達と、その母親達が楽しそうに喋りながら会場に、向かって行った。
その後ろを流川と仁美が少し離れて歩いていた。

会場の近くになると混雑していて、人の流れに沿ってしか進めなくなって行く。
それでも両サイドには、屋台がずっと並んでおり、それを見ながらゆっくりと行列を歩いて行く。

仁美は綿あめの屋台の前で足を止めた。
普段人に合わせる事などしない流川は、気が付かずに先に進む。