鍵を開ける音が聞こえて、仙道が部屋に入ってきた。
「ドライヤー分からなかった？」
仙道は濡れた髪のままの仁美に言った。
そして部屋の中の棚からドライヤーを引っ張り出してきた。

そして仁美の前に座ると、やってあげると笑顔で言った。
お願いしますと、仁美は後ろを向いて仙道に身をまかす。

ドライヤーの音と、わしゃわしゃと仙道の大きな手が仁美の頭を撫でていると、くすぐったくて笑ってしまう。
「‥綺麗な髪だね。」
指が手ぐしでも引っかかる事なく、乾いてくると仁美の髪がどんどんサラサラしてくる。

仙道は感触が気持ち良くて、何度も仁美の髪を指の間に通す。
綺麗にサラサラになり、満足した様に仙道はドライヤーを消す。
「ありがとうございました。」

笑顔を振り向いた仁美に、仙道は思わずドキッとする。
部屋着の仁美の無防備さは絶品で可愛かった。
照れ隠しで、また仁美を後ろから抱きしめる。

「‥長袖で暑く無い？」
部屋着ならＴシャツでいい時期だった。
「‥長袖が丁度いいです。」
そう言った時に、右腕を左手で摩ったのを仙道は見逃さなかった。

仁美の右腕の袖を何も言わずにまくった。
一瞬の事で仁美は抵抗も何もしなかった。
仙道の目に入ってきたのは、しっかりと手の形でアザになっている、明らかに誰かに捕まらたれた様な跡だった。