仁美が緊張しない様に、エントランスに入る段階で手を繋なぐ。
仁美は恥ずかしそうに仙道の顔を見た。
仙道と目が合い笑い合う。
先ほどよりは大丈夫な様だ。

3階まで階段を上がり、自分の部屋のドアを開ける。
どうぞと、仁美を先に入れた。
一瞬躊躇していたけど、仁美の体は玄関に入っていった。

玄関は狭いので、仁美が部屋の中に入らないと仙道が入らない。
「‥お邪魔します」
緊張しながら仁美が部屋に入ったのを見て、仙道は玄関に入りドアを閉めた。

仁美は物珍しそうに部屋中を見ていた。
小さいキッチンと8畳程の普通のワンルームだった。
仙道はキッチンに先程買ったお惣菜を並べる。
「座っててよ。」
そう仁美に声をかけ、仁美は立ちっぱなしという事にやっと気が付いた様だ。

何処に座ればよいのか分からなかったので、座卓がある場所にマグが敷いてあったのでそこに座ってみた。

自分が仙道の部屋に居るのが信じられなくて、凄くドキドキした。
同世代の男の人の部屋は流川以外初めてだった。
「飲み物ってコップいる？」
「‥そのままで大丈夫です。」
買ってきた飲み物を持って、仙道も座卓の方にやってきた。