駅でロッカーに預けていた仁美の荷物を取りに行き、テイクアウトを何にするか相談する。
まだ固まっているが、かろうじて会話は出来ている。

手頃なお惣菜屋さんを見つけて、そこのお弁当にする事にした。
駅から歩けるが、荷物もあるのでバスを使う事にする。
待ってる間、たわいも無い話をしてだいぶ仁美の緊張はとけていった。

海の見える道まで来ると、仁美はバスの外を見た。
まだ海の近くという環境に慣れていないのか、珍しいのだろう。
仙道は堤防の先を指差して、よくそこで釣りをすると教えた。

「先輩釣りやるんですか？」
「こっちに来てハマった、ボーっと出来るし楽しいよ。」
仁美はよく学校でもボーっと1人で居た仙道を思い出す。
その堤防すぐのバス停で降りた。

仙道は降りた仁美の手を引き、そのまま手を繋いで歩き出す。
住宅街に、3階建てのマンションが見えた。
仙道はそこを指差して目的地だと教えてくれた。

全部の間取りが、ワンルームの作りだろう事が外観から伺える。
学生専用のマンションらしい。