「‥先輩、私は先輩が好きです‥」
「分かってるよ。だけどそれと流川の話は違うでしょ？はっきりさせよう。」
仙道が握る手の力が強くなった。
仁美は困った顔をする、その顔を見て仙道は手を離した。

「この先従兄弟同士でいるのは全然構わない、だけど2度と流川の気持ちに沿わないで。」
少なくても、再開した時は仁美は流川の気持ちに応えようとしていた様に見えた。
どんな経緯で、親戚という認識からそうなったのかは分からないし、聞きたくもない。

自分に見せる様な顔を、他の男に見せないで欲しい。
幼くて、幼稚な気持ちかもしれないが、それが今の1番の気持ちだった。

「‥先輩は覚えていないかもしれないですが‥。」
仁美はポツリと話し出し、仙道は顔を上げて仁美を見た。
「私と先輩は部活で初めて会ったんじゃ無くて、私の入学式で会ってるんです。」
仁美は顔を赤くしながら俯きかげんで話す。

仙道も仁美と初めて会った桜吹雪の光景を思い出す。
今でも鮮明にあの時の仁美の仕草、表情を思い出す事が出来る。
仙道は瞳を細めて、仁美の言葉の続きを待った。

「その後、部活紹介で先輩を見て、バスケ部に入るつもり無かったのに、初めて人のプレイに感激して、どうしてもこの人のプレイを毎日見たくて。」