自分が時間を間違ってないか、何度もLINEを確認する。
場所もあっている。
近くにベンチがあったので、そこに座って待つ事にした。

仁美がスマホを取り出して時間を潰していると、2人組の男が声をかける。
軽そうにナンパされ、少々イラッとするが、昨日他人を出来るだけ不快にさせないと決めたばかりだ、仁美はニッコリ笑って申し訳なさそうに待ち合わせしていると断る。
悪いとは思っていないが。

2人組はそれほど強引では無く、そのまま笑顔で何処かに行ってしまった。
そんな2人組を見送って仁美はため息を吐く。

「おお、懐かしいなその八方美人度。」
仙道の声に仁美は顔を赤くしながら振り返る。
ずっと見てたのか意外に近くに居て、笑いながら仁美を見ていた。
今のを見られていたのかと思うと穴があったら入りたい。
自分の嫌いな一面だ。

「中学の時の仁美って、毎日そんな感じだったな。」
仁美の隣に仙道が座る。
仁美は仙道から顔をそらして俯きながら喋る。
「‥猫被ってたんです‥。」
「ああ、そんな感じだったね、でも体育祭の時は少し剥がれてたね。」
思い出した様に仙道が笑う。