「何かおかしいよなぁ、あの2人。」

いつもの様に体育館でバスケ部の見学をしている桜木軍団は、流川と仁美を交互に見ながら言った。

生徒会の帰りを春子に見つかり、仁美はそのまま体育館の中へ誘われた。
春子は仙道と仁美のその後が気になってしょうがないみたいだ。

「ああ、不自然なほどお互いを見ないよなぁ。」
いつもなら仁美がはいってきた瞬間確認する流川が、今日は見ない。
今日だけではなく、あの試合以降2人が一緒に居る所を見た事がない。

仁美の方も、流川と同じで決して流川の方を見ようとはしない。
そんな2人の不自然さを不思議がる桜木軍団だった。

あれからどーなったと春子が仁美に聞く。
仁美は言いにくそうに、春子に小声で付き合う事になったと報告した。
春子は自分の事の様に喜んでくれた。

仁美は練習している部員を見渡す。
陵南との練習試合後、明らかに士気が上がっている。
仁美は流川に目をやった。
流川はこちらを見る事なく、淡々と練習をしている。

いつもの様に笑いかけてくれる流川の姿はそこには無かった。
流川は仁美が自分のバスケに関わる事を拒否はしなかった。
バスケという領域だけが2人を繋ぐものになった。
それだけ十分だと、仁美は思った。