仁美はお父さんがバスケットの経験者で、高校の際はインターハイに行った事を話した。
会話をしながら仙道はボールを拾い、仁美に渡す。
ボールを触っている時、お父さんの話をしている時、仁美はとても良い笑顔になるので、仙道は嬉しかった。

仁美がこぼしたシュートを仙道が取ってゴールに入れた。

「‥何か楓とバスケしてるみたい」

ボールを拾う仙道を見ながら仁美ふ呟いた。
「楓？」
「同じ歳の親戚の男の子なんです、‥すごくバスケが上手で小さい時から会えば2人で遊んでいました‥小学生中学年の時にはもう勝てなかったです」

今年の一年で1番上手な小野寺が、小学生時代は仁美には勝てなかったと言っていた、その楓という男の子が上手いという事は理解できた。
ただ仙道は面白くは無い。

（上手いってどんだけだよ）

仙道はグッとボールを持っている手に力を込めた。
そのままドリブルして助走をつけて、思いっきりリングに向かって跳んだ。

その高さとフォームに、仁美は胸が高なった。
何度も何度も見た、父親のダンクの瞬間。

ドカン！
次の瞬間仙道は初めてダンクが出来た。
「っ‼︎」
見ていた仁美も驚いたが、やった本人も驚いた。

「うわ〜‼︎」
「先輩凄い‼︎」
2人は大興奮で手を握り合って大喜びした。
2人の大騒ぎの様に、他の生徒が体育館を覗いていた。