本当はずっと気が付いていて、気が付かないフリをしていた。
私は楓も好きだった。
それはきっと、先輩も楓も気が付いている。
そして知らないフリをしてくれている。

そうだよ楓。
本当はさっき、想いをぶつけられても傷付けられてもどっちでも良かった。
あの一瞬のキスが楓が私を傷付けない為の唯一の行為だった。

結局は自分で選べなく、楓が引いてくれたんだ。
私がこれ以上2人の間で悩まない様に。

そして先輩もまた、私が後悔しない様に楓との話し合いを任せてくれた。
‥優しい人達。

楓から想いをぶつけられてドロ沼に入っても良かったんだ。
私はそんな汚い人間なのに、2人はそうならない様に導いてくれる。

正しい道を歩もう。
それが2人に返せる私の誠意なのだから。