ー2人で見た花火を思い出す。
賑わった露店の道を2人で歩いて。
久しぶりに行った祭りに仁美はずっと笑顔でいた。

ー久しぶりに会った楓が、いつの間にか大人びていて、顔をずっと見るのが恥ずかしかった。
私はお祭りの雰囲気でその気持ちを誤魔化していた。

ー離れない様に繋いだ手は、緊張していて顔も見る事が出来ずにただ歩いていただけだった。

ー楓があまりに優しく扱ってくれるから、その手を離す事が出来ずにずっと楓の後ろ姿を見ていた。
その姿は私の知っている少年では無くて、1人の男の人だった。

ー花火が打ち上がるとさっきまで緊張していた仁美が笑顔になり、その笑顔を見て俺は凄く幸せだった。

ー花火を見ながら、楓の笑顔に手の温もりに安心感を覚えて、私は楓の手を握り返した。

ーそうして俺と仁美はずっとこのまま一緒に時間を過ごしていくと。

ー私も楓もそう思っていた。

楓‥。
本当に私達は恋ではなかったのか。