今日の部活が解散になり、俺はすぐに仁美の家に向かった。
家の前から、仁美の部屋の明かりを見ると消えていて仁美がまだ戻っていないのが分かる。

ここに来るまでずっと嫌な感じがしていた。
その暗い部屋を見て、確信にかわる。
スマホを取り出して、仁美に連絡する。
後ろから着信の音が聞こえて振り返ると、仁美が立っていた。

仁美の表情を見て、仁美が俺に言いたい事が分かる。
俺はスマホをポケットに入れて、仁美の側に行く。
ずっと大切にしてきた。
どんな時も仁美が笑っていられるようにずっと見守っていた。

でも結局は、その思いは仁美には苦痛でしかなく、最後は結局そんな顔をさせてしまっている。
仁美の為に出来る事はもう分かっている。
どう振る舞えばいいかも。

ーーそんな事は出来ないのに。
胸が締め付けられて息が出来ない。
仁美は何か言おうとして、一歩近づいてくる。
「聞きたくない。」
俺は咄嗟に顔を背けて仁美を拒否する。

傷付いただろう。
しかし仁美は悲しい顔はしなかった。
我慢して、自分が悲しい顔すれば俺が余計傷つくのが分かるから、俺より傷付いた顔をする事を悪いと思っているから。