先輩はそっと身体を離して、私の顔を見た。
先輩の幸せそうな笑顔が胸を締め付ける。
つられて私も笑った。
私は目線を下へ向けると、そこには陵南高校の電車組の皆様が階段を上がれなく待機していた。

私は恥ずかしくなり、先輩へそれを教える。
先輩もびっくりして、私達は階段の端に寄って、みんなに道を空ける。
それを見て、ぞろぞろと階段を、上がり始めた。

私は恥ずかしくて、ずっと下を向いていたが、先輩は凄く冷やかされていた。
越野さんは先輩の脇腹にグーパンが入った。
結構痛そうだ。

男子の後に、女バスも上がって来た。
女バスは明らかに、私を見ながら階段を上がって行く。
堀さんも上がって来て、先輩と目を合わせる。
何やら2人は笑顔になり、先輩と堀さんはハイタッチをした。
私は不思議な顔で2人のやり取りを見ていた。
本当に仲の良い友達なんだと、その光景を見て思った。

みんなを見送って残った私達はしばらく沈黙していた。
先輩は私の手を握った。
恥ずかしいけど、私は先輩に顔を向ける。
「‥俺ん家近いから行こう、もっと一緒に居たい。」

凄く嬉しいお誘いで、すぐ返事をしそうになったけど、私は楓の顔がよぎった。
一瞬私の顔が曇ったのを先輩は見逃さなかった。
そしてその理由を察してくれた。