先輩が私に何の話があるか、気にならない訳じゃない。
先輩は私の事がどう思っているのか‥。
1番大切なのは、先輩が何が言いたいのか考える事じゃ無くて、私が何を先輩に伝えたいかだ。

何度も何度も先輩を思い返す。
思い出はいつも鮮明に蘇り、私の胸を締め付ける。
私は先輩に言いたい事がある。

「‥春子ちゃん‥私先輩と話たい。」
気が付いたら涙が出てた。
本当はずっと先輩と話がしたかった。
我慢しないで私の話を聞いて欲しかった。
傷付くのが嫌で逃げた道に、結局終わりは無く、私はずっと先輩を追い続ける。

私は次の駅で引き返すと、春子ちゃんに言う。
春子ちゃんは頑張れと言ってくれた。
駅に止まるとすぐに折り返しのホームへ行く、電車はすぐ来てくれて戻る事が出来た。

私達の電車の一本後だろう、楓達が乗った電車とすれ違った。
湘北のジャージと、背の高い集まりは一瞬の映像でも分かるものだ。
楓は私と同じ様に外を見ていた。

ー楓‥ごめん。
私は心の中で必死に楓に謝った。
楓を見ても、先輩の元へ行こうと言う気持ちは変わらなかった。
楓にLINEを打とうとして止める。
かける言葉が無かった。