「‥2年になって、パスの楽しさを覚えて、プレイスタイルが変わったの。」
私が先輩のプレイに放心していると、真帆さんが教えてくれた。

「1年の時は本当に点取り屋で、湘北高校との練習試合では40点位取ってた。」
私の知っている先輩のスタイルも点取り屋さんだ。
先輩は私の知らない所でどんどん凄くなっていく。

先輩のプレイは確かに圧巻だった。だけどー。
「楓の点取り屋も先輩に負けず劣らずですよ。」
楓と赤木先輩と‥桜木君の闘志が目に見える様だ。
今後の展開が楽しみでしかない。

試合は19対0になった。
普通ならワンサイドゲームになりかねない展開だ。
しかし、ここから前半戦は湘北高校の追い上げムードで終始終わる。

赤木先輩17点、次いで楓の14点、点差は6点差まで詰め寄っていた。
引き離せない湘北チームに田岡先生はイライラしていた。

隣にいた真帆さんも楓のプレイに息を呑んで見ていた。
先輩は相変わらずマイペースで試合を進めている。

あまりガツガツしていない先輩のプレイに、田岡先生の激怒がまた飛ぶ。
その田岡先生の対応に、先輩が陵南高校を選んで良かったと思った。
先輩を良い方に指導してくれているのが見て分かる。

‥にしても桜木君‥。
スポーツマンとしてのマナーは覚えた方がいいかも。
公式戦心配だ。
真帆さんも田岡先生への振る舞いには苦笑いである。