今も先輩を、追っかけて見に来てると思われているだろう。
少しでも会いたいと思った自分が恥ずかしく思えた。

私が困っていると、楓が来た。
様子がおかしいのに気がついたようだ。
「どうした？」
「‥大丈夫だから。」
楓がその人を睨むものだから、慌てて楓を制した。

大丈夫と分かると、楓はチームに戻ろうとする。
「楓‥頑張って。」
私は楓の背中に向かって言った。
楓は振り返り、頷くとそのままウォーミングアップを続ける。

一連のやり取りを見ていた人が、今度は不思議な顔をしていた。
「彼氏？」
楓を、指差して聞かれた。
「‥いいえ、幼なじみです。」
その人は複雑そうな、顔をしている。

何でこんな事を聞かれるんだろうと思ったが、この時は分からなかった。