私は先輩とその女の人とのやり取りを凝視してしまっていた。
ずっと見てしまっていたのだろう、その人は私に気が付いて、少し困った顔をしていた。
私はその顔にはっとなった。

「すみません！知っている人だと思って‥。」
私は恥ずかしくなり顔を背ける。
顔を背けながらも、LINEを交換しているこの人が先輩にとってどんな人なのかばっかり気になっていた。

「仙道の後輩でしょ？」
その人は私を見て笑顔で言った。
後輩って事がわかる事に驚いて私はその人を見返した。
「ごめん、気が付いてここに座ったんだ。去年文化祭に来てなかった？」

そう言われて、顔が赤くなった。
後輩って事がバレていて、あの日来ていた事が知られているなら、先輩にも伝わってるのかもしれないと思った。
顔に出ていたのだろう。
その人は申し訳なさそうに、仙道も知ってると教えてくれた。

もう顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
あの日の事は、自分だけの中で消化したかった。
先輩はいきなり会いに来た後輩に何て思ったのだろう。
気持ち悪く思ったかもしれない。
急にこの場にいるのが恥ずかしくなった。