小学生の高学年で、男女の体格差で男子より上手なのは、相当練習したのだろう。
仙道はそう思った。

そしてこの小野寺の仁美の話をしている時の様子から、仁美が好きなのだと確信した。
今更仁美の事を好きな男が1人2人増えたところで、仙道はどうとも思わなくなった。

何故だろうか、最近は仁美は誰とも付き合わないのではないかと思う様になった。

それでもこの小野寺は特に仁美と仲の良い男子だった。
部活でもよく喋り、クラスは違えど休みの日に小野寺がわざわざ仁美に会える様に工夫しているようだ。
2人をよく見かける。
まぁ、面白くは無かった。

「仙道先輩、部長が呼んでいます。」

仁美から初めて声を掛けられたのは、わりとすぐだった。
皆んなが仁美と話す機会を伺っていたので、用事など仁美はよく言いつけられていた。

「ーありがとう。」
仙道がそう答えると、仁美はにっこり笑って自分の仕事に戻っていった。
（俺の名前覚えてくれたんだ）

仙道のカリスマ性を考えたら真っ先に覚えていて当たり前の事だが、その当たり前の事ですら、嬉しかった。