その後どうやって家に帰ったのか分からない。
気が付いたら外はすっかり暗くなっていて、リビングに私はボーッと座っていた。

ー来年は全国に連れて行くから。
ー俺がそうしたいんだよ。
ー来年は俺が手を繋ぐ。

先輩と過ごした日々が、昨日の様に思い出される。
あの時見た花火が、本当に綺麗であれ以来あの花火大会には行っていない。

先輩の腕にしがみ付く彼女を思い出す。
胸が痛くなり、私は涙が出た。
時間をかけて過去にしてきた気持ちが一瞬にして思い出される。

流れる涙を拭きながら考える。
会いたいのか会いたくないのかもう自分の気持ちが分からない。
時間は22時を過ぎていた。
この時間になったら、楓が来る事はない。

楓が来た所で、先輩の話をするだろうか。
まだ自分でも整理できていない気持ちをどう楓に伝えてよいか分からなかった。

LINEがなったので、確認すると楓からだった。
『今度の土曜日練習試合がある。』
来てとも何も書いていない報告のLINEを見て、もう楓は夢の中と確信した。
寝ながら打ったな。

練習試合が決まって、ますます練習に励む様になり、私と楓の時間もめっきり無くなった。
最後まで行くか行かないか答えが出ない中、私は‥行く事にした。