奈美が仙道の事を喋る度に、幸せそうに一緒に居るのを見る度に、一緒に笑顔でいた心の中は辛さで血を流している様だった。

「私に奈美から仙道を嫌う様に仕向けるなんて酷い事考えるね。」
そう私が言うと仙道は顔を上げた。
「距離を置きたかったのは奈美ちゃんじゃなくて、堀だよ。」
冷たい笑顔で仙道は言った。

その言葉に、私は言葉を失った。
私は仙道と奈美の2人の仲を壊す様に仕向けたのかと思っていたが、仙道が本当に壊したかったのは、私達の関係だった。

「‥何で？」
声が震えていたかもしれない。
仙道は目を伏せてゆっくり話してくれた。
「気持ちを共有する事が、あの子の話を誰かと出来る事がこんなにも心を軽くするなんて知らなかったんだ。」

「堀と一緒に居る時は、あの子の事を考える事も少なくて、2人でこのまま気持ちを風化して過ごしていくんだって本気で思ってた。」

私は仙道の言葉を聞くしか出来ているない。
仙道が何を言おうとしているのか、まだ想像すら出来ない。
ゆっくりと仙道は続けて言う。