「‥こんなやり方酷いじゃない、もっと私に上手く言えばよかったじゃない。何で傷付ける様なやり方選んだの？！私達友達でしょ？！」

泣きながら抗議をしてくる奈美を私はただ見つめていた。
「‥友達じゃない。」
そう言った瞬間、奈美はとても傷付ついた顔をして、そして軽蔑する様な眼差しで私を見て、何も言わずに背を向けた。

その言葉を出した瞬間、私は全てを理解出来た。
山道はこれを私に言わせたかったんだ。
言わせる為に奈美と付き合ったんだ。
だから山道は真っ直ぐ走って行ったんだ。

秘密を共有した時から山道は何も変わって居なかった。
私だけが山道を信じなくて、ただ人を傷つけただけだ。

彼女を追いかけながら山道はもう気が付いているかもしれない。
私が考える事は何故かあいつは分かってしまうから。
山道に伝えたのは、彼女が帰ってから一時間後だ。

もし山道が奈美を置いて、彼女の元に行っても絶対会わせない為に。
私は自分の汚い心に笑ってしまった。

山道も奈美も傷付けて得たものは虚しさだけだった。
私が奈美を好きだと初めて気が付いた人。
山道は私の為に奈美と付き合ったんだ。
私だけが山道を裏切った現実に、山道の気持ちに気付かなかった事に、私は胸を痛めた。