ぼんやりと山道を眺めていたら、山道は越野達と合流した。
そのすぐ後に奈美がやってきて、山道の腕を掴んだ。
山道は奈美に気がつくと、奈美の頭を撫でた。
奈美はとても幸せそうな顔をする。

ーもう耐えられない。

心が悲鳴を上げた時、私の視界に入ってきたのは何度も見た写メの女の子だった。
彼女はいつから見ていたのだろうか。
その大きな目を驚きで更に大きくさせ、目線を外す事が出来ない様だった。

彼女が視線を外し、元来た道を帰っていくのをぼんやりと眺めていた。
彼女がどんな思いで来たかなんて、どうでもよかった。
ただ山道を傷付ける口実を手に入れただけだ。

「山道。」
山道と奈美が振り返る。
私はにっこり笑いなが言った。
「あの写メの子が来て、山道見て帰って行っ‥。」

言葉が言い終わらない内に、山道は私が指差した方に走った。

あの子が来ていると教えたら、山道はどうするのかと思った。
写メの子と言えば奈美はきっと分かる。
奈美にどんな言い訳をするのか、彼女を追いかけても奈美の元に居ても、もう話すしかないはずだった。

山道は何の駆け引きも無かった。
残ったのは、山道に置いていかれた奈美と私だけだった。
「‥どういう事？真帆は知ってたの？」
奈美はきっと進展しない関係の中で、彼女の存在を薄々気が付いていたのだろう。
すぐにこの状況を理解した。