こんな苦しい気持ちになるなら、嫌われてもいいから好きと伝えれば良かった。
奈美の幸せそうな顔を、こんな気持ちで見たくなんてなかった。

嫉妬で頭がおかしくなりそうになりながらも、私はバスケで気持ちを吐き出した。
がむしゃらに練習をした。
もう目の端にすら2人が入らない様に。

ひたすら耐えるだけの日々も、あの瞬間に土砂崩れの様に気持ちが漏れた。
学園祭で賑わっている校内で、山道は1人スマホを見ていた。
その表情から山道が何を見ているか容易に想像出来た。

こんなにも人を憎いと思った事は無かった。
あんたを信じて疑わずに笑顔で居る奈美に、あんたはちょっとも惹かれなかったの？
どうしてその子だけが、山道の心の中に居続けるのだろう。

そんなにその子がいいなら返してよ。
奈美をに返して山道。

溢れる気持ちはもう戻す事が出来なかった。
少しでも山道が奈美を好きになってくれたなら、楽に慣れたのだろうか。
時間が解決してくれたのだろうが。

それなのに山道の気持ちが変わって居なかった事に、心が切なくなる。
私は今あんたを無茶苦茶傷付けたい。
私だけが持っている、カードで山道が私にした様に。