練習試合に出れなく、不完全燃焼な私は、マイボールを持ち、近くの公園へ向かった。
薄暗いが、練習できなくもない。
175センチは女子の中では好条件で、今までレギュラー落ちを経験した事のない私にとっては初めての挫折だった。
高校の洗礼を受けた。

「堀？」
聞き覚えのある声に振り返る。
そこに居たのはやはり仙道だった。
仙道はいったん家に帰ったのだろう、随分ラフな格好をしている。

「練習熱心だね。」
仙道は足元にあったボールを拾い、私にパスした。
そのまま背を向けたので、私は仙道を呼んだ。
「練習付き合ってよ、仙道。」

仙道は振り返り、面倒くさいと言った。
ーこの野郎w
そこは強引に仙道を引きずり込んだ。

やらせてしまえば、仙道は観念した様に真剣に練習に付き合ってくれた。
「堀はせっかく身長が高いんだから活かしてセンターをやるべきなんだよ。」
フォワード希望の私に仙道が言う。

センターは中の勝負で負けない為の体づくりが別格である。
作り上げる事が出来る気がしなくて、ずっとフォワードを希望していた。
しかし、フォワードでもこの大きい体を生かせる様な、仙道の様なプレイを私は出来ないでいた。

息を切らしながら、私は仙道を見た。
仙道は休憩〜と、コートから出た。