仙道と奈美はすぐにデートした様だ。
そしてすぐに噂になる。
流しているのは奈美本人だが。
仙道争奪戦は、奈美がリードしている様に見えるだろう。

だけど、私は心中複雑だった。
他の女の子の写真を持ちながら、奈美とデートする仙道を軽蔑したり。
奈美の友達として凄く苛立つし。

なのに、誰も知らないであろう、その秘密を仙道と共有している事に、周りの女の子より仙道の近くに居るような気がして、優越感があったりもした。
奈美には写メの事は話していない。
誰にも言うつもりは無い。

2人がどんなデートをしたかは奈美からさんざん聞かされていた。
結果、奈美は仙道にさらにハマったようだ。
とうの仙道はあの日以来また、のらりくらりかわすようになった。
結局仙道の素の姿を見れたのはあの時一瞬だけだった。

高校になって、初めての練習試合があった。
男子と女子が合同で試合をした。
仙道は、はじめての試合から既にレギュラーに入っていた。
1年では仙道だけだった。

私は‥選抜からもれてしまった。
ベンチにも入らず、ひたすら雑用と応援で試合を盛り上げる。
声援の中心に居る仙道が、遠くの存在に見えた。