花火大会が終われば、すぐに全国大会が始まる。
先輩の中学最後の大会。
先輩は全国の注目の的になっていた。

1試合１試合目に焼き付ける様に、先輩を追っていた。
もっともっと先輩のプレイを見ていたい。
最後のホイッスルが鳴る瞬間、私の目から涙が溢れた。

ー先輩の夏が終わった。
フェイスタオルで顔を覆いながら、涙が流れるのを堪える。
泣きたいのは先輩達の方だ。
山道先輩は意を決した様に、動いて他の部員達を誘導する。

会場に挨拶に回り、最後にベンチに戻って来た。
先輩は真っ直ぐ私に向かってきた。
私も目を逸らさず先輩は見つめた。
「‥お疲れ様です。」
絞りながら出した声はかすれていたと思う。

先輩はそう言った私を抱きしめた。
周りも私はもびっくりしたが、それは一瞬で先輩はすぐに離れると、私の頭をポンポン叩き会場を出て行った。

その後ろ姿を見て、我慢していた涙が一斉に溢れ出てきた。

先輩の夏が終わり、チームが変われば先輩とはそれ以来会う事は無かった。