連続で上がる花火がとても綺麗で、思わず見入っていた。
右手が、隣の先輩に触れた様な気がした。
その瞬間、先輩が私の手を握った。

びっくりして、体が一瞬強張った。
それが山道先輩が私の手を握ったと理解した途端、急に心臓が高鳴った。
ー来年は俺が手を繋ぐ。
去年、楓と手を繋いでいたのを見られた時に、先輩に言われた言葉を思い出した。

どうしたら良いか分からなくて、右手は力を抜いて、左手で持っていた内輪で顔を隠した。
花火の光で、顔が赤いのを悟られたく無かったから。
鼓動が早くなっていくのがわかった。
心臓が壊れるのではないかと思った。

気まぐれな先輩の、その場の思いつきでこうなっているのかもしれない。
先輩からしたら何でもない事なのかも。
よく洋子さんが先輩の腕に絡みついているのを思い出す。

花火の音より自分の心臓の音の方が大きく聞こえる。
凄く怖くて、恥ずかしかったけど、私は握られた手に力を入れて先輩に応えた。