大会から帰ると、早速楓に電話した。
かなでさんから楓に変わって貰っている保留の間、私はマネージャーと話している時の楓を思い出していた。

電話に出た楓は、いつも通りで大会の負けを引きずっている様子は無かった。
楓は本当に精神面は強い。

しばらく話していても、どうしてもあの人の事が気になって、話に集中出来なかった。
彼女なのかな？
それと無く楓に聞いてみたが、そんな感じでは無かった。
ホッとしたが、きっといつか本当に彼女が出来る日は近いだろうと、寂しくなる。

今回の夏休みは帰って来ないと聞いて、余計寂しくなった。
このままこんな風に離れていく様な気がした。
ただの親戚なのだから、これが正しいのかもしれない。
それでも今はその選択をお互い出来ないでいた。

春の大会が終わり、先輩達の最後の夏に向けて一層気合いが入った。
山道先輩も流石に部活にずっと来ていた。
こうして先輩のプレイを近くで見れるのは、後少しだ。

予選を勝ち抜いて、全国が決まる。
その時は、今までの全国行きより、凄く嬉しかった。
まだ、全国で先輩のプレイが見れるのだ。
全国は夏休み後半なので、恒例のお盆休みが入るが、流石に今回は部活になった。

それでも花火大会は部活で行こうという話になった。
少し返事を考えていたら、山道先輩があらためて誘いに来てくれた。

もう直ぐ離れるかもしれないと思うと、少しでも同じ時間を過ごしたくなり、私は頷いた。