やっと見つけた楓は、マネージャーらしき女の子と話していた。
その時の楓は、いつもの人に無関心な無表情ではなく、私と話をしている時の楓に近かった。

楓がこんな風に人と話しているのを見たのは初めてで、正直驚いた。
一瞬話しかけるのを躊躇した位だ。
思い直して、楓に声をかけた。

周りも一緒に振り返ったのが分かったが、構わず楓に話続けた。
楓の腕には誕生日にあげたリストバンドが付けられていた。
思わずそれを言ってしまった。

目の端に映った先ほどの女の子が、びっくりしているようにこちらを見ていたのが見えた。
それを見て、何ともいえない感情になってしまった。

あまりにも注目されているので、あまり話せない。
早々に私は楓と離れた。
残った楓はかなり冷やかされていた様だが、楓は昔から集中力はあるので、大丈夫だろう。
心の中で、楓に謝った。

自分のチームに戻ると、山道先輩と目が合った。
先輩がにっこり笑ったので、私もつられて笑顔になった。
先輩も調子は良さそうだ。

先輩の活躍は凄かった。
3年になり、さらに上達していた。
きっともっと上手くなる。
先輩のプレイはまわりを高揚させてくれる。
バスケを知らない人でも、先輩のプレイは一目瞭然凄いと分かるだろう。