次の日、お昼からの宴会の準備が終わり、席に向かうと楓がもう座っていた。
目が合って、お互い何となく笑顔になった。
最近は電話をしているせいで、久しぶりの様な感じは無かった。

楓の誕生日プレゼントを買っていたのを思い出して、部屋へ取りに行き、楓に渡した。
楓はすぐ開けてくれて、入っていたリストバンドを見ると、嬉しそうな顔をしてくれた。
その顔を見れて、今年も誕生日プレゼントを渡して良かったと思った。

途中でゲーム兄弟が、先輩の事を楓に話した。
彼氏じゃないと否定したが、楓は不満そうだった。
楓と付き合っている訳ではないから、宥めたりはしないが、私も楓に彼女が出来たら、少しやきもち焼くなと考えたりもした。

私達の関係は、確実に変わっていったと思う。
そしてその気持ちを味わう事になるのは、意外にもすぐだった。

春の大会では、先輩達も楓も予選を通過した。
全国の会場で楓に会えるのは嬉しかった。
直接対決になったら複雑だが、どちらにも全力で頑張って貰いたい。
電話で報告を受けた時は、頑張ってと心から応援した。

会場で、楓のチームを探した。
組み合わせを見る限り、決勝までお互い進まないとぶつかりはしなかった。
試合の組み合わせ的に、楓の試合を観戦出来る感じでも無かった。

それでも少しでも声をかけたくて、空いている時間の今、楓を探していた。