あれは今でも覚えている。

初めてバスケットの試合を見て、そこに映っている選手に衝撃を受けた。

「お父さん‥空を飛んでるみたい‥」

フリースローライン近くから飛び、ダンクを決めたのはそう呟いた仁美のお父さんの高校のインターハイのビデオ画像だった。
その日は仁美と一緒に、ずっとお父さんの試合のビデオを食い入る様に見ていた。

神奈川に帰って俺はすぐに親にバスケットがしたいと悲願した。
幸い未学童児でも入れるバスケットの教室が、家のすぐ近くの市民体育館でやっていた。

体験教室で触ったバスケットボールと、子供用のバスケットゴールだかシュートが入った快感に俺はすぐにバスケに夢中になった。