07. 予期せぬ課題
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「物好きがいるものね。いつも罰則受けてるのにあいつがいいの?」
アンジェリーナはグリフィンドールの周りを彷徨いている監督官の目を気にしながらひそひそ声で話した。
『当たり前じゃん!…見て、あの立ち姿。他には考えられないよ』
「考えられるわよ!あなたに気のありそうな人、結構いるわよ?」
『そうなの?……じゃあ、何で誘われないんだろう…』
今の所、お誘いゼロで半ば諦めモードのユリカは口をへの字にして呟いた。
「それはきっとユリカはいつも一緒にいる、ジョージかフレッドと行くと思ってるからよ」
アンジェリーナがフレッドの名前を出す時に、若干声が小さくなったのが分かった。
『ジョージ、でも練習の時にパートナーいたしな……っと出来た。どう?似てる?』
「何て言うか、その…ええ…」
アンジェリーナはユリカの描いた、恐らくスネイプであろう似顔絵を見せられ苦笑いを浮かべる。
「突っ込みどころが満載ね…」
『何か言った?』
「いいえ。何も」
『どうせ私は絵心ないですよ』と口を尖らせていたユリカは、アンジェリーナの言葉などお構いなしに、こっちに来てから吐き出せていなかったスネイプに対する熱量を吐き出し始めた。
『……それで、黒が本当に似合うよね』
「ユリカ」
『いつもの黒いローブも似合うけど、スネイプ先生は他の服装もきっと────』
「ユリカ!」
『え?』
バシッ
アンジェリーナの視線に気づき、その視線の先を見ようとした瞬間、頭部に衝撃が走った。
『痛ったぁ…って、わわわ!』
涙目になりながら後ろを振り返ると背後にはスネイプが腕を組んで立っていた。
「Ms. スズモリ、我輩に何か用ですかな。随分と余裕のようだが、先日の課題は当然、終わっているのでしょうな────ところで」
『あ!』
「これは何かね?」
急いで手を伸ばしたが遅かった。
スネイプはテーブルの上にあった紙を手に取り眉根を寄せる。
『そ、それは…ス────』
「カラス!そう、カラスです!」
「ほう、実に興味深い答えですな。これ以上、グリフィンドールから点を引かれたくなければ大人しく自学に取り組みたまえ」
スネイプはせせら笑いを浮かべ、次のターゲットの元へ向かって行った。
「流石にバレたかしら……やだ、大丈夫?そんなに痛かったの?」
スネイプがハリー達に夢中なのを確認したアンジェリーナは心配顔で尋ねた。
『スっ…スネイプ先生が貰ってくれた…!』
「……心配して損したわ」
嬉し泣きしているユリカの肩をアンジェリーナは優しくポンポンと叩きながら、あの紙は捨てられるんだろうなと思いつつも、その言葉は呑み込んで「良かったわね」と呟いた。
すると、宥めていたアンジェリーナの左腕に丸めた紙が当たり、目の前に転がった。
「おい、アンジェリーナ!どう、僕と踊る?一緒に!」
周囲のグリフィンドール生達も身振り手振りを交えて誘うフレッドと同じくらいドキドキしながらアンジェリーナの返事を待っているのだろうとユリカは周りの表情を見て思った。後ろにいるスネイプでさえ一瞬、目を通している提出された課題から視線を逸らすのをユリカは見逃さなかった。
「あなたと?……いいわよ」
アンジェリーナは品定めするようにフレッドを見た後、口元をかすかに笑わせて承諾した。フレッドはロンにこの光景を見せつけて、ウインクする。
「私、やったわ!」
『おめでとう!良かった。これでフレッドを殴らなくて済んだよ』
アンジェリーナを祝福しつつ、ユリカの目はハリー達に行く。
「ハーマイオニー?女の子だよね?」
『駄目駄目っ!』
ロンを止めるべく、独り言の様に呟きながら必死に手でジェスチャーを送る。
その甲斐あってこちらに気づいたハリーは急いでロンを止めにかかる。
「良くお気づきですこと」
「僕らとどう?」
バシッ
スネイプの一撃がロンと油断したハリーの頭にヒットした。それを見た生徒達はクスクスという忍び笑いを上げる。
バシッ
『ふぇっ…!?』
「余所見をしている暇があるのなら、さっさと課題を終わらせろ」
まさか再び“ファンサ”を貰えるとは思って居らずに反射的に出たユリカの声に周囲の忍び笑いは更に大きくなった。