07. 予期せぬ課題
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何も知らされずに変身術の教室に招集されたグリフィンドール寮生達は何事だと不安そうな表情を浮かべる。
しかし、寮監であるマクゴナガルが穏やかな表情をしてやって来たことで皆の気持ちは落ち着いた。
「兼ねてより三大魔法学校対抗試合に伴い、舞踏会を行うのが伝統とされています。クリスマス・イブの夜、お客様と共に大広間で一晩楽しみ、騒いで結構。ただし、お行儀良く。皆様は開催校の代表として一人ひとりが自覚を持ち、最高のリードをしてあげて下さい。これは文字通りの意味です」
マクゴナガルは教室の中央を開けて壁際に用意された椅子に座る生徒達に目をやりながら続けた。
「舞踏会ですから、何よりも肝心なのはダンスです」
その言葉にそれぞれ女子生徒からは喜びの声、男子生徒からは落胆の声が上がる。
そんな中ユリカは、先程まで教室の中央で巨大な蓄音機の整備をしていたフィルチがレコードを数枚手に取り眺めている姿を見て、どのレコードを選ぶのか注目していた。
「静かに!グリフィンドールの寮は千年もの間、魔法使いの尊敬を集めてきました。たった一夜でグリフィンドールの名を汚すことのないよう、はしたなくはしゃいで羽目を外したりはしないこと」
向かい側ではフレッドとジョージがマクゴナガルの言葉を真似して早口で言い合っている最中なのであろう、互いに向き合って口を動かしている。
「ダンスでは、身体をのびのびと解き放つのです。女の子の中には優雅な白鳥が眠っていて、飛び立つ時を待っているのですよ」
こうも差が出るものなのだろうか、真剣に話を聞く女子に対して、男子はあまり聞く気がないようだ。
「男の子の中には雄々しきライオンが眠っているのです。Mr. ウィーズリー」
「はい?」
「さあ、踊ってみましょう」
突然呼ばれたロンは面食らい、マクゴナガルに服を引っ張られ、仕舞いには隣のハリーに背中を押されて前に出た。
「右手を私の腰に当てて下さい」
「どこに?」
「腰です」
ロンは周囲から、主にフレッドとジョージからヒューヒューと冷やかされ反論しようとする。だが、その腕はマクゴナガルに元の位置に戻されてしまった。
「そして腕を伸ばして────Mr. フィルチ、どうぞ」
フィルチが数枚の中から選んだレコードに針を落とすと、マクゴナガルは「いち、にっ、さん」とリズムを刻みながら音楽に合わせてワルツを踊る。
「さあ、皆さん一緒に!男子もさあ、立って!」
周りの女子が皆立ち上がった。
男子はネビルを含み少人数しか立っておらず、マクゴナガルの再度の声掛けに皆は渋々立ち上がった。
「さあ、パートナーと組んで!」
『(みんなは誰と組むのかな…)』
マクゴナガルとロンから目を離して辺りを見ると、ハーマイオニーはハリーと、アンジェリーナはフレッドと踊っていた。回転した際に目が合ったアンジェリーナにユリカはサムズアップをする。
自分はジョージと踊ろうかな、と周囲をきょろきょろと見回すもジョージには既に先約がいたようだ。
「Ms. スズモリ、そんな所で何をしているのです?」
『あの…パートナーがいません』
「では、Mr. ウィーズリーと踊りなさい」
マクゴナガルは一緒に踊っていたロンとユリカをくっつける。
「はぁ、君と変われて良かったよ」
『こちらこそ良かった。一人で回ってないといけなくなるかと思ったよ』
そう言いつつもハーマイオニーでないことを申し訳なく思った。