06. 第一の課題
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十一月も早いもので下旬に差し掛かった。来週には第一の課題が行われる。
ユリカがフレッドとジョージ、リーと共に次の教室へ向かうべく廊下を歩いていると、中庭の皆から少し離れた場所で真剣な面持ちで話しているハリーとセドリックが目に入った。
セドリックの友人だろうか、ハッフルパフ生達が「汚いぞ、ポッター!」やら「このバッジ見ろよ!」やら二人の方を見て叫んでいる。
『そういえば、“姫”の護衛として呪文を覚えるって話したよね?今から練習の成果を見せてあげる』
「お!じゃあ、お手並み拝見だな」
「なになに?いったい、どんな素晴らしいショーを見せてくれるって?」
「リーが完全に受け入れてるのが既に面白いな」
覗き込む形でユリカとリーの肩にかけられたフレッドの腕を除けて、ユリカは目の前の柱に隠れる。
“的”に狙いを定めて、先日習得した呪文を唱えると“汚いぞ、ポッター”バッジは蜘蛛に変わった。
次から次へとバッジは蜘蛛へと変貌し、身に付けていた生徒達は悲鳴を上げて、蜘蛛を追い払おうと集団で滑稽なダンスを踊り始めた。
あまりにもバッジを付けている生徒が多かったため、中庭や廊下の至る所に蜘蛛が大量発生している。早々に犯人探しが始まるのだろうと覚悟していたが、今や、我々四人以外はパニック状態で、皆犯人のことなどこれっぽっちも視界に入っていない様子だ。
その光景に双子とリーは背後で腹を抱えて笑っている。
『あ、やば…』
恐らくちょっかいを出そうとする五秒前だった、ハリーの近くに突っ立っているドラコ御一行様の付けているバッジにも変身術をかけようとドラコの胸元に杖を向けるも、“的”が動いた拍子に新たな“的”へと変わってしまった。蜘蛛へと変身してしまったゴイルに悲鳴が上がる。
急いで元に戻すと、どうやらトラウマを掘り出してしまったらしく、ドラコ達は走って逃げて行った。
「やっぱユリカは最高だな!」
「違いない!俺らが見込んだだけはある!」
「満点で合格を授けますわ…!」
『身に余る光栄でございます』
悪気はなかったのだが、さすがにゴイルやドラコ達には悪いことをしたなと反省しつつも、自身の及第点以上の変身術の出来と友人達からの賞賛に満更でもない表情になる。
ユリカはにこにこのハリーと笑みを必死で抑えているセドリックを横目に教室へと向かった。
「ポッター!」
ハリーが唸るような声に振り向くと、ムーディがこちらへ向かってくるところだった。
「お楽しみの所悪いが、一緒に来い。ディゴリー、もう行け」
ムーディはさっきの会話を聞いたのだろうか。ハリーは、今度は何が起こるのだろうと不安に思いながら、ムーディに従った。
ムーディはダンブルドアに告げ口をするのだろうか。それとも、自分をケナガイタチに変えてしまうのだろうか。いや、さっきみたいに蜘蛛に変えるのかもしれない。
まあ、イタチや蜘蛛になったほうが、ドラゴンを出し抜きやすいかもしれない、とハリーはムーディの後に続きながらぼんやりと考えた。