06. 第一の課題
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少し肌寒い日曜の朝、トーストを頬張りながら三人は湖の畔を歩き続けた。大広間でナプキンにトースト数枚を包んでいると、それを見兼ねたハーマイオニーに声をかけられたのだ。
ハリーは終始こちらを気にしながら、昨夜グリフィンドールのテーブルを離れてから何が起こったのか、ありのままの出来事を話して聞かせた。
自分はハリーの性格や考えていること、次の動向まで手に取るように分かるが、実際はまだ出会って二ヶ月しか経っていないのだ。信用なんてされないで当然だ。
だが、ハリーは二人が何の疑問も差し挟まずに話を受け入れてくれたことに心からほっとした様子だった。
ハリーが代表選手に選ばれた昨晩、拍手喝采大歓声の談話室での大宴会を苦労しながら静め、隙をついてハリーを部屋に続く階段へと逃がしてあげた際に「私はハリーを信じるよ」と言ったが、何をしてあげたら良いだろうか。
ハリーとドラコの喧嘩を止めようかと考えたが、それだとハーマイオニーのコンプレックスがなくならない。
とりあえず喧嘩の後にでもあのバッジをどうにかして回収するしかない。バッジ工場長によるバッジ製造ラインを止めない限り、呼び寄せ呪文で解決という訳にはいかないだろうし、今の所解決策が皆目見当もつかないのだが…。
「ロンを見かけた?」
「え、ええ……朝食に来てたわ」
「僕が自分で名前を入れたと、まだそう思ってる?」
「そうね……ううん。そうじゃないと思う……そういうことじゃなくって」
ハーマイオニーは口ごもり、ユリカに助けを求めるかのように目配せした。
『うーん、ここにいる生徒一人ひとり、生い立ちも違えば考え方も違う。その一人ひとりに必ず長所があれば短所も存在するし、ロンだけじゃなく、みんなにも言えることだけれど、今回ロンの中の長所ではなく、その短所が出てきてしまった。要するに────』
「嫉妬してるって?何に嫉妬するんだ?全校生徒の前で笑いものになることにかい?」
「あのね」
ハーマイオニーは辛抱強く、ハリーが怒って口を開きかける度に言葉を付け加えながら話して聞かせた。
「僕、ロンの後を追いかけ回して、あいつが大人になる手助けをするなんて真っ平だ!」
ハリーがあまりに大きな声を出したので、近くの木に止まっていたふくろうが数羽、驚いて飛び立った。
「僕が首根っこでもへし折られれば、楽しんでた訳じゃないってことを、ロンも信じるだろう────」
「馬鹿なこと言わないで!」
『しばらくは苦しいだろうけど、最終的には時間が解決してくれるよ。それは“大人な”ハリーが一番分かってるんじゃない?ね?────ハーマイオニー、あなたが傍に居てくれてとても心強いよ。“大人な”彼に変わって私が言っておくね』
ユリカは口論になりかけている二人の間に割って入って落ち着かせると、二人っきりで話したいことがあるだろうと考えて先に城に戻った。
「ユリカって……なんて言うか、“大人”ね」
「ハーマイオニー、ごめん」
ハーマイオニーはユリカに大層感心したようだ。
ハリーはユリカに頭の中を見透かされているような妙な気分になった。
ユリカとはフレッドとジョージを交えて食事の際に話すことはあっても、いつも忙しそうにしていて大広間以外ではあまり会話したことがない。
はるばる日本からホグワーツに来たばかりでこれまでのホグワーツや英国魔法界での出来事、そして有名人“ハリー・ポッター”のこともあまり知らないはずなのに。
ハリーは何故だろうと不思議に思った。