03. 組分け帽子
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皿の中身がなくなり、ダンブルドアが立ち上がると、にぎやかな話し声や笑い声がほとんど一斉にぴたりと止む。聞こえるのは風の唸りと叩き付ける雨の音だけになった。
ダンブルドアはいくつかの知らせがあると言い、フィルチの城内持ち込み禁止品の話をし始めた。
「それから────皆も気付いたじゃろうが、遥々日本から本校に転入生がやって来た」
皆の視線がダンブルドアからユリカへと移る。わざわざ身を乗り出して見る生徒も居た。
「六学年のユリカ・スズモリじゃ。仲良くするように」
ユリカは顔が火照るのを感じながら起立し、ぺこりと一礼した。
「おい、同じ学年じゃないか!」
「俺らはてっきり二年生くらいかと思ってたぜ」
『失礼な…!』
皆より少し小さくて童顔だからと言っても四歳下はいくら何でも幼すぎだろう。
それよりグリフィンドールにはならないだろうなと身構えていたユリカは、双子達と一緒に授業を受けられるという事実を改めて実感し、嬉しくてたまらなくなった。
その間もダンブルドアは、禁じられた森の立ち入り禁止とクィディッチの取り止めなどを話した。
クィディッチの取り止めを聞いたときのフレッドとジョージの顔は見ものだった。
「ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年、ホグワーツで────」
三大魔法学校対抗試合の話に入ろうとした時、雷鳴とともに大広間の扉がバタンと開いた。
天井を走った稲妻が、長いステッキに寄りかかり、黒い旅行マントをまとった戸口に立つ男の姿をくっきりと照らし出す。
男は片方の普通の目とは全く無関係に、丸いコインのような鮮やかな明るいブルーの目を瞬きもせず、ぐるぐると上下左右に絶え間なく動かしながら、コツッコツッという鈍い音を響かせてダンブルドアに近づき、顔と同じぐらい傷痕だらけの手を差し出した。
「“闇の魔術に対する防衛術”の新しい先生をご紹介しよう。ムーディ先生です」
静まり返った中で明るい声のダンブルドアに紹介されたのは原作と変わらず“マッド・アイ”ことアラスター・ムーディだった。
ユリカは拍手を送るが、ダンブルドアとハグリットと自分以外は職員も生徒もだれ一人として拍手しなかったため、三人の拍手が静寂の中で静かに鳴り響き、それもほとんどすぐに止んでしまった。
席に着いたムーディは目の前のかぼちゃジュースには目もくれずに旅行用マントから携帯用酒瓶を取り出して飲んでいる。
宴会に遅れた本当の理由が自身の知っている内容だったとして、もしあれがポリジュース薬だとしたら…。
ダンブルドアにはハリーが三大魔法学校対抗試合の選手として選ばれる事とヴォルデモートが復活する事は話したが、偽ムーディの事は話していない。
この件を内密にしたのは、 単純にバーティJrを救いたかったからだ。毒親のせいでヴォルデモートに依存しているだけで根はそこまで悪くない人だ、多分、きっと。
ユリカは皆が夢中になっている三大魔法学校対抗試合の話には耳も貸さずにただひたすらムーディを観察し、今後の計画を考えていた。
時折、明るいブルーの魔法の義眼に見られているように感じる時があったがきっと気のせいだろう。