03. 組分け帽子
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ダンブルドアの合図で空っぽの皿から出てきたご馳走を自分の皿へ盛り合わせていると双子が話しかけてきた。
「俺は、フレッド・ウィーズリー」
「俺は、ジョージ・ウィーズリーだ。俺達こう見えても双子でね」
『わ、私は、ユリカ・スズモリ。よろしくね』
フレッドとジョージ、ユリカの三人での会話と思いきや、周りに座っている生徒達も聞き耳を立てている。
「遥々ホグワーツへようこそ!」
「東洋出身なのかい?」
『…うん、日本人だよ』
自身に集中する視線が気になり、少しぎこちなくそう言うと、二人を含めて周りの生徒達も「珍しい」と呟く。
「なるほどな、通りでお辞儀が綺麗なわけだ!」
「ここにはマナーを重んじる奴なんてそうそういないからな」
「ありゃ、マクゴナガルもちょっとビビってたな」
『ふふっ、そんな大袈裟な…』
夏の間は城内で頻繁にこのやり取りが行われていたため、その様な事は断じてないのだが、斬り捨て御免されるかもしれないと戦慄するマクゴナガルが可笑しくて笑った。
「そういや、ピーブズとのことは本当なのか?」
『……?』
これまでのやり取りは知る由もないし、先程の玄関ホールの池の件を言っているのだろうかと戸惑っていると、フレッドが付け足して言った。
「ほら、夏休みの間はホグワーツに居て、ずっとピーブズとやり合ってたっていう」
どこからの情報だろうか。何とも恐ろしい。
魔法界の噂は元の世界の数倍早く広まるようだ。
『ま、まあ…早くこっちに着いたのもあってね。ピーブズとの事は…うん。お陰で休暇明けのフィルチに目を付けられたけど』
「ピーブズを手懐けるとは、すげぇな!」
『ただ一緒に遊んでるだけで、手懐けてるわけではないよ…』
「驚いた…俺の聞き間違いじゃないよな?“一緒に”“遊んでる”って言ったか?」
「こりゃまた凄い新人ちゃんがやって来たもんだぜ」
ジョージは呆気に取られた顔をして握手を求めてきた。
「是非とも」
「我らの」
「「お仲間になっていただきたい」」
フレッドとジョージはお互いに見合わせてニヤニヤしている。今後の悪戯を考えて居るのだろうか。
「で?」
『…で?』
「返事はいかがなほどですかな、姫?」
息の合ったハイテンポな二人のやり取りを映画を見ているかの如くぼーっと見ていると、返事を求められた。加えて実際に“姫”呼びされ、一気に我に返る。
冗談かと思って聞いていれば本気だったのだと気づき、ユリカは慌てて口を開いた。
『もちろん!是非とも仲間に入れて下さい!』
悪戯仕掛け人の再来と言われている二人直々のスカウトとあっては断るはずがない。
フレッドはジョージの肩に腕を回してハイタッチをした後、ユリカの肩にも腕を置いた。
「東洋の魔女さん、英雄殿をご紹介しましょう」
ユリカはフレッドの発言にかぼちゃジュースを吹き出しそうになりながら、「バレーボールか!」と心の中でツッコんだ。
「あちらが、かの有名なハリー・ポッターさんだ」
ハリーはこちらに気づき、デニスに続いてまた好奇の目で見られるのだろうかと戸惑っている。
『初めまして、ハリー。よろしくね!』
「確か、ユリカだよね?よろしく」
ハリーは傷痕について追求されずに済み、安堵の表情になった。
そうなると、隣に居るのがロンであっちがハーマイオニーだろう。
他の人たちも見て思ったが、よく本人達に似た俳優、女優を見つけたものだ。
「ほくは、ロン・ヒースリー」
「私は、ハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしくね」
口に食べ物を詰め込みながら話すロンにフレッドとジョージはため息をついた。
「ロニー坊や、お口に食べ物を入れながら話すんじゃありません!」
「はしたないザマスよ」
「うるふぁい!」
ユリカに感化された双子はロンに小言をぶつける。
すっかり緊張が解けたユリカは、そんな兄弟間のやり取りを見てクスクスと笑う。
『みんなよろしくね。あ、お話の邪魔しちゃったかな?』
挨拶をするとほとんど首なしニックがハリー達の前にプカプカと浮いているのに気づいた。ハーマイオニーがまだフォークを持っているということはピーブズの話をしていたのだろう。
「いえ、大丈夫です。Ms. スズモリが誰の寮に入るかゴースト達で賭けていたもので、我が寮に獲得できるとは鼻が高いですよ」
ニックは微笑み、太った修道士にアピールするようにユリカを自慢してから、中断された会話の続きを話し出した。
「それで話の続きなのですが、ピーブズが祝宴に参加したいと駄々をこねまして────そこまではいつもの事なのですが、今回はおマヌケなお友達の晴れ舞台だからと────」
「ユリカってよっぽどピーブズに気に入られてるんだな」
「どうやったらアレがそんなになるんだ?」
ニックの話を聞きながら、想像がつかないと呟くフレッドの言葉に皆は頷いた。