ルーン26
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「とにかく、何でも良いから稼ぐ方法を見つけよう」
何か売ると言っても二人の手元には売れるものなんて何もない。さてどうしたものか。
大通りに出て何かないかと二人で探していると、広場の一角にある人だがりに目が行った。その輪の中央では大道芸を披露しているようだ。
もしかしたら、これなら端金程度なら稼げるかもしれない。
『(誰が見たいと思う?)』
傍観者の自分が頭の中で語りかける。
見ず知らずの子供なんて誰も見向きもしないだろう。ましてやエクルを払おうだなんて、思うはずない。
周りの目を想像した途端、意欲的だった心は、たちまち恐怖に支配される。
黒いインクで塗り潰された人々の視線。
耳を塞ぎたくなる不快な囁き声に嘲笑う声……怒鳴り声…。
『…!』
「僕が集めるからローズは何も心配するな」
震えるローズの肩に優しく触れてピエールは微笑んだ。
ピエールの言葉に全身の力が抜けるのを感じた。
でも、その優しさに甘えるだけではだめだ。私も頑張らなければ。
『(やるしかない!)』
二人で一緒に帰るのだから。
「ローズ?おい!」
広場の隅の階段まで来るとそこに腰掛けてローズは大きく深呼吸をした。
「なんだ、なんだ?」
「あっちでも何か始まったぞ」
魔法で呼び出したギターの音色と歌声に吸い寄せられるように人々が集まる。
「なんて儚く美しい歌声なんだ…」
「ママ!人魚のお姫様だ!」
「そうね、絵本の人魚さんみたいね」
「人間になりたいって魔女にお願いしちゃったのかな…?」
小さな男の子の「歌いながら泣いてるみたい」という言葉に緊張で震える声が上ずる。
───「……の分際で…様のつもり…しら…」
───「すぐ捨て…れ…わ、よ」
───「たいして上手くないくせに図に乗るな!」
頭の中で反響する言葉に意識が遠くなる。
「おい見ろよ、剣舞だ!」
「凄い…綺麗な子」
「姉妹か?」
『!』
皆の視線の先を見ると斜め前でローズの歌う曲に合わせて、剣を構えて舞うピエールがいた。
強く踏み込んで剣を躱す。
まるで生まれた頃から踊っていたみたいだ。跳ね上がる石の粒まで宝石に見えるほどに美しい。
しかし、その美しさは自身の創り上げるメロディに委ねられている。
なお一層、それを美しく魅せたい一心で奏でるうちに、緊張も恐怖も楽しいという気持ちに呑み込まれていた。
「素晴らしい!最高だ!」
「ブラーボ!ブラーボ!」
「ブラーボ!」
気づかぬうちに分厚くなっていた囲みがどっと湧いた。
目の前に色鮮やかなエクルがバラバラとひっきりなしに落ちてくる。
「アンコール!アンコール!」
「もう一曲頼む」
「アンコール!」