ルーン24
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『……っ…』
目覚めたローズは、身体を起こして周囲をキョロキョロと見回す。
決して新しくは無いがふかふかのベッド、そして暖炉の灯火、ここは誰かの家だろうか。周囲は生活感に溢れ、暖炉の暖かい火はパチパチと一定のリズムを刻む。
『んっ…!』
状況を把握しようと辺りを見渡していると、白いモコモコの物体が横から飛びかかってきた。膝の上にやって来た、額に赤いダイヤの飾りを付ける耳が垂れた白い大型犬の様なうさぎの様な生物は、ローズの頬をペロペロと舐める。
かわいい。とても懐っこくて人馴れしているようだ。だけど……。
『このわんちゃん、どこかで見たような……あなたが助けてくれたの?』
「あら、目が覚めたの。その子、あんたはいつ目覚めるんだってずっと心配してたのよ」
声の方を見ると、見た目的に2、3歳くらい年上の女の子がポットを持って立っていた。
『あの…助けてくれて、ありがとうございました』
そうだ、ピエールは…。
『私と一緒にピエールが…!金髪の男の子がいませんでした!?』
ゲルの外にでると見渡す限りココア色の砂漠が広がっていた。
「あんたは一人で落ちてきた。この“ココア砂漠”にね」
『ココア砂漠って事は……魔界の一番端…』
「ふーん、地理“は”頭に入ってるみたいね、ローズ=フローラ」
何故私の事を知っているのだろうと一瞬考えたが、女王候補であった事を思い出して納得した。
加えて、強調した言葉にも引っかかったが聞き流す事にした。
「ココアの結晶の星型の砂で出来た美しい砂漠を司る、あたしは大地の魔女、アンブル」
『あの……お願いがあるんですが………私、中央に戻るか無事な事を伝えたいんです。鏡か水晶か───』
「ないね」
アンブルはローズの言葉を遮って言った。
「それに中央までは一番早い魔鳥クラーヌで行っても一週間かかる」
そういえば思い出した。
魔界でも指折りの偏屈、変人。見た目は幼いが実は大年増、ココア砂漠のアンブル。
間違いない、この人だ。
「ローズ=フローラ、帰る方法が無いって訳じゃない」
『何ですか!?』
「“教えて下さい”だ!」
『教えて下さい!早く人間界に戻らないと…!』
「知ってるよ、カナリアちゃん。“貸して”“教えて”何でもタダで手に入ると思ったら大間違い。あんたはもう少し学ばなきゃなんないね」
そう言うとアンブルは早々にゲルの中に戻った。
どういう意味だ、とローズも後に続くと、甘い香りが鼻に入ってきた。
「まあ、あたしの責任でもあるからね。ほら、干しイチジクと黒パンだよ。ココアを飲んだらこの服に着替えて、靴を履いてついておいで」
ほっとする様な懐かしい味。
それと同時に過去の記憶も蘇り、ローズは腕をさすった。
カップに注がれたココアを記憶と共に飲み干すと良く手入れのされた服に腕を通す。
さっきのパジャマも着心地良かったな、などと思いながらブーツも履きアンブルの後に続いてゲルを出た。