密会
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※狂愛注意
時計の針は真夜中を指し、多くのものが眠りに耽けり学校中が静まり返る。
そんな中、一人の生徒が闇の魔術に対する防衛術の教室の扉を開けた。
「誰にも言わずに来たか?」
「はい、皆が眠っている所を出てきましたから。でもこんな時間に何の用でしょうか?」
こんな時間に加えて誰にも言わずに…。
無用心なのは俺を友人以上に信頼してくれている証拠なのだろう。
「ああ、実はな───」
澄んだ眼差しで見つめるナマエ、なんて可愛いんだ。自分を慕ってくれている生徒をもっと独り占めしたいと思ってしまう。これだから独占欲が満たされたと思っても底が無いのだ。さあ、お前の全てを包み隠さず味わせてくれ。
ゆっくりと一歩また一歩と踏みしめるように足を前に動かす。
「先生…?」
窓から注がれる月光が俺の姿をくっきりと映し出し、目の前の彼女はポリジュース薬が切れた普段の姿とは程遠い俺の姿に明らかに危険を察知した本能で後退る。青ざめた顔には不安と困惑の色が見える。
そんなに拒絶しなくても良いじゃないか。お前の尊敬するマッドアイの中身は今までずっと俺だったんだから。
「だ、誰ですか…」
「ふっ…。はは、誰だと思う?」
乾いた笑い声が昼間とは打って変わって静かな教室に響く。
慌てて杖を取り出したナマエは後退り一定の距離を保つ。だがそれも束の間、背後を皮肉にも普段授業の際に利用している机に取られ、追い詰められた。
「……イ、インペディメンタ!」
不敵な笑みを浮かべクラウチJrが呪文を弾く。その流れ弾が山積みになっていた教材に当たり、分厚い本の山が音を立てて一気に崩れ落ちた。
「おいおい、尊敬する先生にそれは失礼だと思わないか?話くらい───」
「こっ、来ないで!」
言葉を遮ったナマエは、震えながらも懲りずにこちらに杖を向けている。
だがクラウチJrは気にせずに距離を縮めながら口を開いた。
「そして…随分と生温い呪文だな。お可愛いこと……」
自身に向けられている杖を目を細めて眺めながら呟いた言葉。
あのナマエが俺に杖を向けている。その様は、まるで外敵に対して小さな身体を大きく見せようとする小動物の様だ。追い詰められて怯えながら必死になって身を守ろうとしている現状にゾクゾクする。しかも、その場を作っている肉食獣が俺だ。ああ、反抗精神さえも愛おしい。
叶わぬ恋程燃える物とは良く言ったものだが今現在、正しくそれに該当するのであろう。
「インカーセラ──」
「エクスペリアームス」
「…ッ!」
「まずは武装解除。それが基本だ」
素早く唱えられた武装解除呪文に杖が飛び、クラウチJrの手の中に収まる。
「お前にはもっと使える呪文も教えたはずだったんだが」
ここだけ見れば個別授業の様に思えるが、それだけではそうは問屋が卸さない。まあ、現に瞳に絶望の色が見える彼女に今の指導が聞こえてたかすら怪しいが。
この状況下でも俺に対して許されざる呪文を使わないのは彼女の根っからの優しさからなのか。はたまたただの臆病なお人好しなのか。まあ、どちらでも良い。
目の前の彼女の全てに耽溺しているのだから。
「……ナマエ、愛してる。狂おしいほどに」
お前の全てが欲しいと思う程に…お前の目に映る全ての世界が憎らしい程に…おかしくなりそうな程に…愛おしいんだ。いや、あのお方に託された使命すら二の次で良いと思えてしまう現在、既に毒が蔓延した自分は狂っているのかもしれない。
使命など忘れて何処か永遠に二人だけで過ごせる場所へ抜け出したい。そう思わないか、ナマエ。
「い、いやぁッ」
「ああ…脆いなぁ」
脆いよ、ナマエ。
一纏めにして握った俺を押していた腕はあと少し力を入れれば折れてしまいそうだ。そんなこいつは俺が守ってやらなければ。それに……その僅かな抵抗は俺への恥じらい隠しなんだろ。そこも可愛いが素直じゃないな、これからみっちり仕込んでやらないと。
他の奴なんかにやるものか。昼間校内を歩かせてるのでさえ耐えられないのだ。俺が目を光らせているだけでも、明らか気がある奴は結構いる。ダンブルドアの目と鼻の先じゃ無ければ、すぐにでも消せていたというのに。
そう、ナマエを自由にできるのは俺だけでいいんだ。
「俺が壊してやるよ、ゆっくりと溶かしながら───愛しい、愛しい、俺のナマエ」
その言葉にナマエの瞳に溢れる涙が頬を伝った。それをクラウチJrは愛おしそうに舐め取る。
そうか、そんなに嬉しかったのか。
尚更、ただ壊すだけでは面白くない。溺れる程に俺の愛を注いでやる。ゆっくりゆっくりと丁寧に時間をかけて愛でてやるよ。
*
「オブリビエイト」
意識を飛ばしたナマエにもう何度唱えたか分からない呪文を唱えた。
真の俺を忘れてしまうのは惜しいが正体がバレない限りお前と“毎晩”一緒にいられるから。
それに安心しろ、もし呪文をかけすぎてお前が狂っちまったとしても俺が喜んで嫁にもらってやるよ。
───おやすみ、そしてまた今晩。
fin.
時計の針は真夜中を指し、多くのものが眠りに耽けり学校中が静まり返る。
そんな中、一人の生徒が闇の魔術に対する防衛術の教室の扉を開けた。
「誰にも言わずに来たか?」
「はい、皆が眠っている所を出てきましたから。でもこんな時間に何の用でしょうか?」
こんな時間に加えて誰にも言わずに…。
無用心なのは俺を友人以上に信頼してくれている証拠なのだろう。
「ああ、実はな───」
澄んだ眼差しで見つめるナマエ、なんて可愛いんだ。自分を慕ってくれている生徒をもっと独り占めしたいと思ってしまう。これだから独占欲が満たされたと思っても底が無いのだ。さあ、お前の全てを包み隠さず味わせてくれ。
ゆっくりと一歩また一歩と踏みしめるように足を前に動かす。
「先生…?」
窓から注がれる月光が俺の姿をくっきりと映し出し、目の前の彼女はポリジュース薬が切れた普段の姿とは程遠い俺の姿に明らかに危険を察知した本能で後退る。青ざめた顔には不安と困惑の色が見える。
そんなに拒絶しなくても良いじゃないか。お前の尊敬するマッドアイの中身は今までずっと俺だったんだから。
「だ、誰ですか…」
「ふっ…。はは、誰だと思う?」
乾いた笑い声が昼間とは打って変わって静かな教室に響く。
慌てて杖を取り出したナマエは後退り一定の距離を保つ。だがそれも束の間、背後を皮肉にも普段授業の際に利用している机に取られ、追い詰められた。
「……イ、インペディメンタ!」
不敵な笑みを浮かべクラウチJrが呪文を弾く。その流れ弾が山積みになっていた教材に当たり、分厚い本の山が音を立てて一気に崩れ落ちた。
「おいおい、尊敬する先生にそれは失礼だと思わないか?話くらい───」
「こっ、来ないで!」
言葉を遮ったナマエは、震えながらも懲りずにこちらに杖を向けている。
だがクラウチJrは気にせずに距離を縮めながら口を開いた。
「そして…随分と生温い呪文だな。お可愛いこと……」
自身に向けられている杖を目を細めて眺めながら呟いた言葉。
あのナマエが俺に杖を向けている。その様は、まるで外敵に対して小さな身体を大きく見せようとする小動物の様だ。追い詰められて怯えながら必死になって身を守ろうとしている現状にゾクゾクする。しかも、その場を作っている肉食獣が俺だ。ああ、反抗精神さえも愛おしい。
叶わぬ恋程燃える物とは良く言ったものだが今現在、正しくそれに該当するのであろう。
「インカーセラ──」
「エクスペリアームス」
「…ッ!」
「まずは武装解除。それが基本だ」
素早く唱えられた武装解除呪文に杖が飛び、クラウチJrの手の中に収まる。
「お前にはもっと使える呪文も教えたはずだったんだが」
ここだけ見れば個別授業の様に思えるが、それだけではそうは問屋が卸さない。まあ、現に瞳に絶望の色が見える彼女に今の指導が聞こえてたかすら怪しいが。
この状況下でも俺に対して許されざる呪文を使わないのは彼女の根っからの優しさからなのか。はたまたただの臆病なお人好しなのか。まあ、どちらでも良い。
目の前の彼女の全てに耽溺しているのだから。
「……ナマエ、愛してる。狂おしいほどに」
お前の全てが欲しいと思う程に…お前の目に映る全ての世界が憎らしい程に…おかしくなりそうな程に…愛おしいんだ。いや、あのお方に託された使命すら二の次で良いと思えてしまう現在、既に毒が蔓延した自分は狂っているのかもしれない。
使命など忘れて何処か永遠に二人だけで過ごせる場所へ抜け出したい。そう思わないか、ナマエ。
「い、いやぁッ」
「ああ…脆いなぁ」
脆いよ、ナマエ。
一纏めにして握った俺を押していた腕はあと少し力を入れれば折れてしまいそうだ。そんなこいつは俺が守ってやらなければ。それに……その僅かな抵抗は俺への恥じらい隠しなんだろ。そこも可愛いが素直じゃないな、これからみっちり仕込んでやらないと。
他の奴なんかにやるものか。昼間校内を歩かせてるのでさえ耐えられないのだ。俺が目を光らせているだけでも、明らか気がある奴は結構いる。ダンブルドアの目と鼻の先じゃ無ければ、すぐにでも消せていたというのに。
そう、ナマエを自由にできるのは俺だけでいいんだ。
「俺が壊してやるよ、ゆっくりと溶かしながら───愛しい、愛しい、俺のナマエ」
その言葉にナマエの瞳に溢れる涙が頬を伝った。それをクラウチJrは愛おしそうに舐め取る。
そうか、そんなに嬉しかったのか。
尚更、ただ壊すだけでは面白くない。溺れる程に俺の愛を注いでやる。ゆっくりゆっくりと丁寧に時間をかけて愛でてやるよ。
*
「オブリビエイト」
意識を飛ばしたナマエにもう何度唱えたか分からない呪文を唱えた。
真の俺を忘れてしまうのは惜しいが正体がバレない限りお前と“毎晩”一緒にいられるから。
それに安心しろ、もし呪文をかけすぎてお前が狂っちまったとしても俺が喜んで嫁にもらってやるよ。
───おやすみ、そしてまた今晩。
fin.
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