03. 組分け帽子
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待ちに待った九月一日がやってきた。
教師陣は朝から生徒達を迎え入れる準備で大忙し。ダンブルドアも今年は三大魔法学校対抗試合があるせいか、朝食時から見かけなかった。
夕刻、ホグワーツ特急が駅に着いたという知らせをゴーストや絵画達越しに聞き、胸を躍らせる。
ローブに身を包んだユリカは階段を一段抜かしで飛び降りて玄関ホールで生徒達が来るのを待つ。そして目立たないように生徒達の中に紛れ込んだ。ハリーはどこだろうか。
ハリー達を探していると聞き覚えのある高笑いが悲鳴と共に聞こえてきた。見上げると四、五メートル上にピーブズがぷかぷかと浮かんでいる。
「おマヌケ、おとぼけ、お馬鹿さん!みいぃぃーつけたぁ!」
ユリカ目掛けて水風船が次々と飛んでくる。それをユリカは杖を使って当たり前のように跳ね返す。
『まだまだだね!』
待ってましたとでも言うようにたちまち水爆弾戦争が始まった。周りの生徒は悲鳴を上げて巻き込まれまいと離れて行く。
「ピーブズ!」
マクゴナガルが怒鳴り声を上げ、大広間から飛び出してきた。
「またあなた達ですか!」
ユリカがまずいと思った時には既に遅かった。
マクゴナガルに怒られるわ、跳ね返したつもりの水風船は人混みから数十メートル放れたところに水溜まりを作るわ、悲惨だった。しかも目立たないように紛れ込んだつもりが逆に注目を浴びている。
唯一の救いは外のどしゃ降りでずぶ濡れの上からピーブズの水爆弾を食らって更に濡れる者が居なかったということだ。
夏休み中ピーブズに出会う度、杖を抜いていたので自然と身体が動いてしまった。
慣れというものは恐ろしい。
ピーブズは「校長を呼ぶ」と脅され、ベーッとマクゴナガルに舌を出し、最後の赤い水風船をユリカに渡すと大理石の階段の上へと消えていった。
となると大体予想がつく。
「ホールに池ができたのはあなたとピーブズの責任です。組分けまでに何とかなさい!」
やってしまった。
大広間に入って行く生徒達がこちらを見てコソコソと内緒話をしている。
ユリカはかすかに聞こえてくる会話を聞き流し、ニタァと不気味な笑みを浮かべているフィルチから水風船と引き替えに受け取ったモップで床を拭いた。