02. ダイアゴン横丁
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澄み渡る青空の下、ユリカは渡り廊下をマクゴナガルと共に歩いていた。
今日はダイアゴン横丁へ新学期の買い出しに出かける日だ。ピーブズによって幾度も“洗濯”された、この古着ともお別れできる。
ホグワーツの敷地内ではダンブルドアという例外を除いては姿くらましが使用出来ないため、城門の前まで行くべく心とマクゴナガルから渡されたミュゼットバッグを弾ませながら上機嫌で玄関へと向かっている。と思っていたのだがどうやら違ったようだ。先導するマクゴナガルは地下へ通じる階段を降り始めたではないか。
ユリカは慌てて口を開いた。
『先生、玄関はあっちですよ。そっちは地下です!』
「ホグワーツに何年居ると思っているのですか。ここに来てたった一週間しか経っていないあなたに言われずとも、そんなこと承知済みです」
ツンとした口調でそう述べて、深緑色のローブをはためかせスタスタと先を急ぐマクゴナガルだが、ここに来た時よりも格段に関係が良くなった。ダンブルドアは忘却術でも使ったのではないかと思うほどだ。
いつも勉強で分からない点を聞くと快く教えてくれる。ファーストコンタクトが最悪だっただけで、マクゴナガルは疑いようも無く生徒想いの素晴らしい先生だ。
階段を下り終えるとマクゴナガルはある扉の前で止まった。
地下へ向かい始めた時からなんとなく感じていた嫌な予感は的中した。
マクゴナガルが扉をノックすると奸悪さそのものの返事が返ってきた。そして扉が開くと大鍋の向こうにやはり彼がいた。
「我輩に何か用ですかな、マクゴナガル先生。出来れば調合中ですのでお引き取り願いたいのですが」
「はい、あなたは“手が空いている”と聞きましたので。私は急用が入ってしまったので、この子の買い出しに付き合うようにと」
マクゴナガルは“手が空いている”を強調して言うと、自身の後ろに隠れていたユリカの背中を押してスネイプの方へ突き出す。突き出されたことに驚き、マクゴナガルを一瞥するも状況が好転する事はなかった。ユリカは目の前の男と目が合ったら石にされるとでも言うかのように研究室の床を眺めることに専念した。マクゴナガルはリストをスネイプに渡すと用事とやらに間に合わないのか早足で部屋を出て行ってしまった。
扉が閉まった後は沈黙の時間の到来だ。
冷たい視線を感じる、気がする。
これは床に釘付けの視線を上げるべきかと頭を動かしかけた途端、ノックする音と共にダンブルドアが扉を開けて入ってきた。
「出来れば返事を待ってから入室願いたいものですな」
「すまんかったのう」
笑いながら謝るダンブルドアは全く反省していない。
「沈黙の空間を邪魔して悪いんじゃが、ユリカをダイアゴン横丁に連れて行って貰えるかの?」
「仮にも保護者であるあなたが行くべきでは?」
「わしはちと例の件で暫くの間、野暮用があってのう…」
悪態をつくスネイプにダンブルドアは残念そうに行けない理由を述べた。
先程からとんでもない雰囲気なのだが、その原因を作っているのが自分という修羅場に胃がキリキリする。
「すまんのう」と笑顔で頼むダンブルドアとは対照的にスネイプは舌打ちをし、負のオーラを放ちながら鍋の中身を消して片付けを始めた。
部屋を出る際にダンブルドアはユリカの耳元に話しかけてきた。
「わしからのサプライズは喜んで貰えたかの?」
『サプライズ過ぎて心臓止まる所でしたよ!』