ルーン3
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『チャイムが鳴ると同時に教室出ていっていなくなったと思ったら、なにやってんのよ!』
中庭にいる二人の姿を見つけたローズはのぞきメガネでショコラを見ながら言った。
ショコラの胸元のハートはオレンジ色に輝いている。
「ショコラちゃん…どうするの?ハートなんてあたしたちが出したら、人間に恋なんてしたら──」
「しーっ!縁起でもないこと言わないでよ!」
『魔女失格……』
魔女が人間に恋心を抱き魂の結晶を奪われた場合、千年間その姿を剥奪される。
千年間の闇を一人あてどなくさまようのだ。
「違うもん!ピエールなんか好きじゃないってば!」
「でもハート出ちゃってるよ!どうすんの、ショコラちゃん!」
ショコラは頭を抱え、バニラは泣いている。
「ピスじゃなくて?何色の?」
「………うん。ピスじゃない」
『オレンジ…ときめいた時に出るハート』
「どうすんの。ショコラちゃん」
『どうすんのよ。ショコラ』
「あたしとしたことが!かっこわるい!」
カシャ
「ん!?」
シャッター音に気づき、辺りを見回すと茂みからこちらにカメラを向けている男子がいた。
「ちょっと!なにやってんのよ」
「うわっわっ」
『おっと!危ない』
間一髪後ろに回り男子を支えた。
「勝手に人の姿写さないでよ!」
『ごめんね。こんなやつだけど優しいところもあるんだよ……たぶん』
「たぶんってなによ!」
『冗談だよ!冗談』
「で、あんただれ?」
「……あっ、えと…同じクラスの」
「同じクラスー?全然印象ないけど…」
『確か、西谷…だよね?』
西谷はローズの顔の近さに気づくと更に顔を赤く染め、こくりと頷いた。
そして言いにくそうにもじもじしつつ口を開いた。
「…もう……離してくれないかな……?」
『あっ!ごめん』
そんな西谷の気持ちに気付くはずなくローズは肩から手を離す。
「新聞…」
「新聞?」
「新聞部なんで……写真とってただけだよ!ごめん!」
西谷は猛スピードで走って行った。
「……なんだあいつ?」
「でも」
「ハート!見えたね、ローズ!」
『それもオレンジ!』
「やったね、ローズちゃん!」
『うん!やっと1個目のハート』
*
ローズは泡のお風呂にお得意の魔法でバラを浮かせる。
『よしっ!明日さっそく西谷のハートを頂こうじゃないの』
ついに自分の、自分に好意を持ってくれた人のハートが。
そう考えただけで母に一歩、近づけたような気がしてうれしい。
『お母さんは人間界でモテモテだったのかな』
ローズは真っ赤なバラの花をすくい上げた。