ルーン19
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあ、今日はソールが部活だけどオレが一緒に帰れるから」
「わりぃ、バスケ始めたら案外楽しくて」
多くの生徒が学校へと向かう中、一緒に登校してきたウーとソールに手を振る。
「しょーじき、毎日一緒じゃなくていいよー!」
「まあまあ、あの二人はショコラとローズの親衛隊だケロよ」
『あ、マユちゃん!おはよう!』
「あ…」
マユの隣には一緒に登校してきたのか、森田がいた。クリスマスパーティーで付き合い、その後もずっと仲が良さそうでこちらも嬉しくなる。
「なんかいつの間にかカップル登校増えてない!?」
『確かに…』
ショコラに言われ、周りを見渡すと中等部の人が多いが、明らかに以前よりもカップルが増えている。
「ナナコちゃんも通学路で知り合った彼とラブラブなんだよ」
「やっぱ出会いは外だよねー!」
ちょうど通りかかったナナコも会話に加わる。
『出会いか…………ないね……』
「ない!」
「つうか、いつもあの二人と一緒じゃん!だからだよ!」
言われてみれば、行きも帰りもウーとソールと一緒だから他の子と話すチャンスを最近掴めていない。ハートの数も心做しか減ってる気がする。
このままでは他の男の子との出会いが無い、ハートも取れない、そして仕舞いには女王失格という負の連鎖になりかねないのではないだろうか。
*
『ウー、ごめん』
「はー、喉乾いたキュ」
『走ったの私なんですが…?』
「ローズ、アイス屋があるキュ!ストロベリー奢ってくれキュー」
『あ!そういえばこの公園…』
自身の使い魔の言葉に無視を決め込み聞こえないふりをしていると、ウーの目を掻い潜って逃げてきたこの場は、ちょうど先週財布忘れて貸してもらった公園だと気づいた。
なかなか来れなくて返すタイミングを逃していた。「ここで待ってる」って言っていたが今日もいるだろうか。
『あ!すみません!この間はアイスのお金───』
「やっと気づいた。意外と鈍いね」
『なっ!』
公園の端のベンチに腰掛けていた尋ね人を発見し、声をかけたまではいいものの、その彼の一言にローズの眉間に皺が寄る。
「さっきからずっとここに座ってたけど……君、二回目すれ違ったよ」
『気づいたなら声かけてくれれば良かったんじゃないですか?見てるだけじゃなく…!』
「そっちこそ、一週間も来ないで!おかげで毎日ここで待ちぼうけだよ!」
この間とは別人の様な態度になんなんだこいつと思う反面、こういったやり取りは久々で少し面白がっている自分も居り、少しばかり悪戯心が疼いた。
シュガシュガルーン
ローズルーン
オプスキュリテ=エトワール
『ふふっ…』
「たまにローズが怖くなるキュ……」
髪も唇も全身キラキラと眩しい程に輝く青年を前に「怒らせないようしよう」とシエルは呟いた。
『じゃあ、お金返しますね!あの時は本当にありがとうございました………え?』
借りていた代金を渡して帰ろうとすると腕を突然握られ、素っ頓狂な声が出る。
『………は、離して下さい!』
「怒らせるつもりは無かったんだ!もう一度会いたくて毎日ここで待ってた。あの日から君の事が忘れられない、ずっと」
青年は真っ直ぐな目でローズを見つめる。
魔法が効きすぎた事に対しての罪悪感からローズは握られている手を握り返した。