ルーン17
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「“春の試験”が行われます。女王候補の三名は速やかに魔界へ出頭すること」
青い封蝋の押された手紙が届いたかと思ったら、妖精のホログラムがそう告げた。
「“春の試験”は元老院による正式な第一試験だキュ!これに受かれば“魔女のローブ”が貰えて魔女の一級になれるキュ。言わば運命の分かれ道だキュ」
ショコラと騎士として同行してくれるウーとソールと共に魔界へと旅立つ。
試験の緊張よりもショコラ、そしてバニラと戦う事の方がドキドキする。
「ショコラとローズには魔界の運命がかかってるんだからな。まあ、オレらもついてるし…楽勝楽勝!」
『ん、ショコラが消えた…』
「あれ!?ほんとだ」
「どこだ?」
「こっちこっち」
声のする方を見た瞬間、何も無い所に突然ショコラの姿が現れた。まるで瞬間移動したかのようだ。
「どう?“透明水晶”の効き目」
「すっげぇ!」
「ショコラ=メイユール、静粛に。バニラ=ミューはもう到着しています」
既に到着していたバニラの隣にはピエールが立っていた。そうかピエールがバニラの騎士に…。騎士として選ばれれば宮殿にも入れるのだろう。騎士とはその魔女の事を命をかけて守る存在、ピエールはバニラの為に命をかける気なのだ。
「分かっているだろうけれど、騎士が来られるのはここまでだ。ここから先は三人だけで進んでもらう」
宮殿ホールの奥から歩いてきたロビンが言った。彼の真剣な眼差しは今日“教官”としてこの場にいるという事を表すには十分だった。
───「……だからオレを頼れ」
この間の事がふと頭に過ぎる。
試験が始まるというのに私情なんかに気を取られていてはだめ。しっかりしろ、私。
「騎士は速やかに控えの間へ退出して待機。それでは“春の試験”を開始する」
気を引き締めてショコラとバニラと並ぶように一歩前へ出た。
「この試験では女王候補の三人が人間界での修行によってどれだけ成長したかを見せてもらう。今までに手に入れた魔法全てを使って、全ての魔法薬の元となる薬草──ピマン山にあるマンドラゴラを手に入れるのだ」
マンドラゴラとは人の形をした植物。魔界でも限られた場所にしか生えていない。その一つが燃え滾った溶岩の山、ピマン山。
『マンドラゴラ…』
「ギャー!あたしアレ大っ嫌い!どーするー、バニラ」
「どーしょ、ローズちゃん!無理に抜こうとすると絶叫してその声聞いたら死んじゃうから絶対近づくなってショコラちゃんのおじいちゃんに何回も脅されたよね!」
「「ハッ…」」
「………あたし、平気です!」
バニラにローズは手を握られ、三人でどうしようと手を取り合っていたのもつかの間、我に返ったバニラはそっぽを向いて自信満々に宣言した。
『バニラ、オプションに自信あるんだ…』
「あたしの“透明水晶”なんて今回は使えない」
まあ面白半分で買ってみたのだが、私の“ダンス=ボンボン”の使い道も今回は無さそうだ。