ルーン16
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魔界元老院
女王選定委員会
「人間界での状況を報告せよ、ロビン審査官」
「は……現在のバニラのハート獲得数は53300エクル。これは現女王に次いで歴代第二位の成績です。まーモテますよ、あの子は人間界で」
宮殿の奥行きのある広間には少々不釣り合いとも思える人数で報告会は始まった。
「一方でローズ33500エクル、ショコラ23510エクルと二人は少々少なめですが、両者共に最近急激に伸びています。このまま行けばバニラに並ぶ日も近いでしょう。数は少ないけれどハートの色が濃い、よりエネルギーの強いハートを集めていると言えます」
「…それで例のバニラの件だが───原則通り“春の試験”は行われる事となった」
「元老院の答えはそれですか」
「仕方あるまい!女王候補の儀式を行った以上、オグルであろうとなかろうとあの三人のうちの誰かが女王になるのだ!」
眉を顰めるロビンに元老院達は吐き捨てる様に強く反論する。
「バニラが勝てばオグルの女王だ。人間界でもオグルが動き始めるぞ」
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人間界
萌黄町
「チョコ屋の前が人だかり!」
あちらこちらに目に留まるリボンの装飾とハートの風船、スイーツの専門店にはどこも女性達が集っている。
街はバレンタインムード一色に染まる。
「わー、これ可愛いっ!上に薔薇がのってる!」
「今年の新作チョコですよ」
「どうしよう、買っちゃおうかな!」
「誰にー!?」
「って森田に決まってんじゃん」
「ショコラは三村?それともアキラ?」
「なんであいつらにチョコあげんのよ!?」
唐突な質問にショコラの眉間に皺が寄る。
「だーってバレンタインは年に一度のラブチャンス!」
「あたし達はもちろん、ピエール様に」
「あたしも塾で一緒の彼に」
「ショコラはほんとーに誰にもあげないの!?」
「だってチョコって好きな子にあげるんでしょ?あたし好きな子いないもん!」
ショコラの肩でデュークは「それでエエんや」と深く頷いた。
年に一度の人間界の行事。
最近女子達がソワソワしていると思ったらそういうことか、と納得した。
「ローズちゃんは?」
『え、私?───私は……』
「もしかして秘密の彼?」
「気になるー!」
何困ってるんだろう。
好きな人なんていないはずなのに。