ルーン12
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今夜はライブがあるんだけど、どんな格好がセクシーかな?ベイビーたち?」
「そーんなのどっちでもいいよ」
「つれないねぇ」
「あの、あたしはあんまり派手過ぎないのがいいと思います」
夕飯時にも関わらず派手な衣装がたくさん入ったクローゼットを魔法で取り出し、次々と着替えるロビンにバニラは言った。
「バニラ!君はオレのキャラを分かっていないようだね」
「バニラちゃまのセンスはバツグンでちゅ」
『私もバニラに一票』
「……はぁー、ローズはいつまでそうやってるんだ?」
部屋の隅でそっぽを向くローズにロビンはため息混じりに呟いた。
「キランッ!じゃあ、オレのようなシマ!シマ!模様の服なんてどうかな?」
「それは遠慮しておく」
「残念だったキュね」
張り切って提案したデュークは無残に散った。それを慰めるシエルは必死に笑いを堪えている。
すると突然玄関先が光った。かと思えば一瞬にしてグラシエが現れた。
グラシエは家に入ってきて早々ロビンの服装を見て眉根を寄せる。
「何だ、その格好は」
「突然現れて人のファッションにケチをつけんな」
『グラシエっ!』
「ああローズ、また会えたな」
パッと立ち上がり笑顔で駆け寄ってきたローズに、グラシエは微笑み優しく頭を撫でた。多少くすぐったく感じながらもローズは照れつつ大人しくされるがままにしている。
対してグラシエとローズの仲睦まじいやり取りに他の皆は目を見開く。
「グ、グラシエ!?」
「ど、どういうこと…?」
二人の仲の良さにショコラとバニラは困惑し、ロビンに至っては片目を痙攣させ顔が引きつっている。
「夜分失礼致します。こいつの家に行ったら留守でしたのでこちらにお邪魔させていただきました」
「あ、はい」
「グ…グラシエ大尉、なんで魔界から人間界にやって来たの?」
先日一足先に人間界へ帰った後何があったのだ、とチラチラとグラシエとローズを交互に見ながらショコラは尋ねた。
「女王キャンディの銘を受けて人間界にいるオグルのことを調査に来たのです。お前も一緒にだ」
「それはいいが」
ロビンはグラシエを上から下まで舐めるように見る。
「何だ」
「そんな格好で人間界をうろうろする気か?目立ち過ぎだ」
「では、どんな……」
パチンッ
ロビンが指を鳴らすとグラシエはお洒落なスーツ姿に早変わりした。
「うわあ!カッチョイイ!」
「お似合いですね」
『素敵!』
ローズのキラキラした瞳にグラシエは視線を逸らした。
「……オーケイ。オレのマネージャーに見えるかな?」
「わ、私がお前のマネージャー!?」
「とりあえずこれからステージだ」
*
ライブ会場にやって来た一行は会場の賑わい様に呆気にとられながらも舞台裏に招かれた。
テレビ中継でもするのだろうかカメラも何台か来ている。
「ベイビーたち今夜も会えたね、Yeah!」
「「「「キャーーーー!!!」」」」
照明が点きロビンが現れ投げキッスをするとファンが歓声を上げる。
のぞきメガネで覗いて見るとピンクに紫、赤がほとんど。薄暗い中をキラキラと輝いている。
エクスターズ=タンタシオン
おまえのハートをオレにくれ!
数え切れないほどのハートがロビンの元へと集まって行く。
入れ替わった時とても実感したがこれほどまで熱狂的なファンを持ち、ステージでも観客を魅了することができるロビンを少し悔しいが凄いと思う。恐らく普段もファンへの対応など丁寧なのだろう。
「相変わらずチャラチャラとしたやつだ」
ローズが意志を固めていると脇でグラシエがため息交じりに呟いた。
「でもロビンがピックアップしたハートが人間界に来た魔法使いの中では一番多いんでしょ?」
「あいつは昔から容量だけは良いんだ」
そう言いグラシエは近くに貼ってあったポスターに目をやる。
ロビンとグラシエは昔からの仲なんだよな。そしてお母さんとも。
どんな思い出話があるのだろう。
「ローズちゃん、なに考えてるの?なんだか幸せそう」
考え事が顔に出ていたらしい。
バニラはニコニコしてローズの顔を覗き込む。
『…ん?ちょっと想像してたんだ』
母の楽しそうに微笑む姿を。
でも思い出したくないのかもしれない。
今はまだやめておこう。
ライブも中盤に差し掛かった頃、スタンドマイクを片手にロビンは口を開く。
「今日はこのステージのためにオレの古い友達が駆けつけてくれたぜ!Yeah!」
「…なっ!」
ロビンはこちらを指さし視線を向ける。
突然の言葉にグラシエは勿論のこと、ローズとショコラ、バニラも同時に驚く。
「カモーン!グラッチエ」
パチンッ
「んあっ!」
フィンガースナップと共に宙に浮いたグラシエはそのままロビンのいる中央ステージへと引き付けられ腕を肩に回される。その行為に立腹するグラシエにさらにロビンはマイクを向ける。
「グラシエ、一言」
沈黙に呆然とする観客。
こんな事態を引き起こしたロビンは隣で微笑んでいる。
「……ふざけるなーーーっ!」
「「「「キャーーーー!!!」」」」
グラシエが叫ぶと同時に上がる黄色い声。
しかもその観客たちの胸元にはハートが出ている。数も先ほどのロビンの時よりも明らかに多い。
「なんでこんなにハートが……ピックアップしろよ」
「コホンッ。これも魔界のためだ」
グラシエは剣を抜きハートをピックアップする。
引き寄せられるハートの中、ロビンは居心地が悪そうだ。
『凄い…!』
「わぁー!」
「あはは…ロビンも真っ青だね」