ルーン11
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「あれ?なんだかいい匂いがするよ」
「ほんと!」
「ワッフル屋さんだぁ!」
「美味しそう!覗いてみよ!」
下校途中、風に乗ってやってきた甘い香りに皆はすぐさま虜になる。
「学校帰りに寄り道して大丈夫かな?それにローズちゃん──」
「もう、バニラは心配症なんだから。平気平気!それにこれも使ってみたいしね!」
そう言うショコラの手には小さな小瓶があった。
「なぁに、それ?」
「これは“ラブラブエッセンス”って言って、たった一雫で相手が惚れやすくなるんだって!昨日魔界通販ブックで見つけたんだ。バニラにも分けたげる」
「でも──」
「あたし“全部のせスペシャルワッフル”!」
バニラの言葉を遮りショコラは上機嫌でクラスメイトと共にワッフルを注文した。
しばらく待つと甘い香りとともにワッフルがテーブルに運ばれる。
「わぁ、美味しそう!っとその前に」
そう言うとショコラはラブラブエッセンスを取り出し一滴垂らした。
「これでよし!いっただっき──」
『ショーコーラー!』
フォークを口に運ぼうとしたとき、背後から呼ぶ声が聞こえ振り返ると眉間に皺を寄せたローズが迫ってきた。
『今日はちゃんと自分で宿題やるって言うから掃除当番変わってあげたのに、こんなところで道草して!』
「ごめん、ごめん」
『もー!もう答え見せてあげないから!ね、バニラ?』
「え?え、えと…」
「えー!?そんなこと言わないでー!これあげるから!」
『そんなも…っんぐ…!』
ショコラは腕を組むローズの口にワッフルを押し込む。
「これはただのワッフルじゃないんだから!」
「ショコラちゃんってば……」
強引なショコラにバニラは苦笑いする。
ラブラブエッセンスを漏ったワッフルを無理やり食べさせられたローズは初めこそ美味しいと思ったが、徐々に熱を帯びて行く身体に違和感を覚え始めた。
終いには胸を締め付けられる感覚に襲われる。
「ローズちゃん、大丈夫?」
「どう?なんか変わった?」
それに気づいた二人が声をかける。
『胸が…苦し、い……』
すると、通りすがった三村たちが声をかけてきた。
「あ!おまえらなにしてんだ?」
「寄り道なんかしていいのか?」
「なんかオレも腹減ってきたー」
「お、グットタイミング!ローズ、チャンスだよ」
『なに、が…?』
ローズはわけが分からずショコラの視線の方を見る。
『!?』
三村、かっこいい。
タイジ、素敵。
アキラ、かわいい。
ローズは三人の元へ近寄ると頬にキスをする。
「「「!!!?」」」
驚いた三人は地面に崩れ落ちる。
「あれ?なんか違うような……」
「また説明読まなかったんでしょ…?」
「う、うん…」
周りにいる赤ちゃん、男の子、お爺ちゃん…みんなにときめいてしまう。
『どうしよう…!みんな素敵!』
「ローズ、どうしたの?」
「なんだか顔が赤いよ?」
「丘野、熱でもあんのか?」
そう尋ねるアキラの胸にはピンクのハートが光っている。
『アキラ……。なんであなたの優しさに今まで気づかなかったのかしら。私のハートを受け取って!』
「ローズちゃん!ハートはダメ!」
「は、ははは…」
「笑い事じゃないよー!なんか、ローズちゃんのキャラ崩壊してきてるよー!」
本気でハートを差し出そうとしているローズをバニラは慌てて引き離す。
「ローズちゃん言ってたよね?魔女がハートを取られると死んじゃうって!忘れたの!?」
「ローズ!しっかりして!」
「なにやってんだ、三人は」
二人の説得も意味なくローズは瞳に入ったタイジにハートを差し出そうとしてしまう。
『私のハートをっ…!』
「あああああ!!」
「ローズ、帰ろう!」
慌てて二人は恋しがるローズを引っ張って行く。
「そういえば、なんかさっき…」
「丘野にキスされた」
「なんだったんだ…」
「「「へへへっ……」」」
ローズが引きずられて去って行く姿を見て三人は先ほどのことを思い出し、ニヤつく顔が抑えられなくなった。