ルーン10
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
爽やかな朝にバタバタという足音が家中に響く。
『ああぁぁぁ!夜中考え事していたせいで寝坊したあぁぁ!!なんでシエル起こしてくれないの?!』
「オレを責めるキュか?元々朝が苦手なオレをあてにしたローズが悪いキュ」
シエルは寝言の様に言うと寝返りをうち、また眠りについてしまった。
言われてみればシエルが先に起きていた所を見たことなかったなとローズはため息をついた。
ローズは急いで支度をし、慌ててリビングに出たが既にショコラとバニラの姿はなかった。
『遅かった…』
するとふとテーブルの上にある2つのマカロンに目を止めた。
4つ入りの箱で2つは既に食べてしまったらしい。
『朝食食べる時間ないしこのマカロン貰ってこう』
ローズがマカロンを摘んで家を出ようとしたときボンッという音とともにいきなり目の前にロビンが現れた。
そのせいで驚いたローズは尻餅をついてしまった。
「グッドモーニング、マドモアゼルたち…ってあれ?ショコラとバニラは?」
『……もう行っちゃいましたよ』
「さては寝坊したな」
寝坊とは珍しいとロビンはニヤニヤしながら床に座っているローズに手を差し伸べる。
『うるさい!』
ローズはその手を借りずに自力で起き上がる。
そしてロビンの口に少しは達者な口が閉じることを願いつつマカロンを押し込み、自分も朝食のマカロンを口に頬張った。
すると突然両者の胸元から光が現れ、胸から胸へと閃光がすれ違う。
「やれやれ…」
『今の…なんだったの……って』
「『えええぇぇ!!?』」
『なんで私がもう一人!?』
「…というより入れ替わった…のか?」
目を見開いてお互いを見つめ合う。
ローズ、いやロビンの顔はみるみる青ざめていく。
「……どうやらオレらが食べたマカロンはただのマカロンじゃなかったらしい」
そう言いながらローズの姿をしたロビンは同じくテーブルの上にあった通販ブックを手に取り“あべこべマカロン”と書かれたページを指さした。
『うそ……』
こんなアニメや漫画にベタなことあるものなのか。
ローズはロビンの姿をした自分を見る。
さすが入れ替わっても女王から貰ったペンダントはそのままだ。それにチョーカーも。
『早く戻らないと……ってそんなにジロジロ見ないでー!』
元に戻りたくて仕方ないローズとは対照的にロビンは鏡の前でローズになった自分の姿をポーズを決めたり一回転してみたりと食い入るように見ている。
『それ以上動いたら蹴りを入れたいと思います…』
「おいおい、冗談だろ。お前の身体だぞ」
だが鬼の形相のローズにロビンは首袖を掴んでいた手を引っ込めた。
『今から学校なのにどうしたらいいの!?』
「これはこれで楽しいかも知れないぞ」
『最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪……』
「……ま、まあでもこの程度のものだったら一日経てば元に戻るだろう」
ブツブツと呟き今にも呪われそうなローズにロビンは付け加えた。
「どうせショコラが頼んだんだろ。オレが学校に行ってショコラ達に会ったら入れ替わったことを気づかれないように戻る方法を聞き出すから」
その言葉にローズは渋々頷いた。
『私のキャラじゃないような言葉使わないで下さいよ!』
「はいはい」
軽返事をしたロビンはまた鏡の前に立ち浮かれ気分だ。
何が楽しいのかローズにはさっぱりだ。
「あっそうそう!オレは今日ライブが入ってるから」
『え!?』
「ローズなら楽勝だろ」
『曲知らないんですけど……』
「ファンが待ってるんだ。多少選曲変えてもいいから」
『……分かりました…』
他人に任せるならこういう時は休演するだろう普通。
ファンという言葉に弱いことをこの男は知っていてわざと言っている、そう確信した。
「それにしてもおまえ先に他の心配事ないのかよ」
『ただでさえ男の方苦手で嫌なのにロビン先生だとなお嫌だし、下着を自称貴公子の変態に見られるかもしれない危機に陥っているって話聞きますか?キキタイデスカ?』
「よし、さっきの質問は忘れてくれ」
「おまえドSか!オレ結構デリケートなんだぞ」などと呟いている自分を横目で流し、ローズはこれは長い一日になりそうだとため息をついた。