ケース07『外気温31度で食べるアイス』

当事者の名前は数字に置き換える。以下レポート内容。


ケース07
『外気温31度で食べるアイス』


07「こんにちはー」

学校帰り。10歳の少女は汗をかきながらこのご時世に貴重な駄菓子屋に入店。

店主「こんにちは。また来たんだねぇ」

店主は70代のおばあちゃん。

07「すっずしー!」

店内は冷房が効いてて快適。07は小さいうさぎの形のポーチを握りしめている。残金300円。

店主「今日は外も暑くないよー?今の気温は31度よ〜」

07「でも暑いよ〜」

07は店内を1つずつ商品を吟味する。店主は腰に手を当てて笑い飛ばす。

店主「そんな見たってアンタ、アイスしか買わないでしょ〜?」

07「だっていろいろ見るの楽しいんだもーん」

確かに駄菓子屋と言うにはパンや小さいお弁当、あとお酒とかも置いてある。07はお酒に目をつける。

店主「10年早いよ?アンタにはね……」

07「あはははは!」

一通り、店内を回るとやはり07は冷凍ケースに突撃する。

店主「おっ?やっぱりね……!」

07はワクワクしながら豊富なアイスを選ぶ……否、選ばずソーダ味のアイスキャンディー……つまりガリガ◯君をチョイス。

店主「好きだねぇ……アタシも食べてたクチだから」

07はアイスを鷲掴み、レジカウンターにGOする。

すると……店主は首を横に振る。

店主「いいよ……お金はいらないよ」

07「えー!なんで!?」

店主「うーん……」

店主は少し高い声でうなる。

店主「日頃の感謝と……」

店主は続ける。


店主「今日で店じまいするから……だよ」


07「え?」

07は動揺しているのか何も感情が沸かなかった。

店主「……外もさ、セミがうるさくて……雲は白くもくもくとしててさ……しまいにゃ気温は31度」

店主「……ホント……『いい夏』だよ……今日は」

確かにミンミンゼミとアブラゼミの大合唱……たまにツクツクボウシのさえずりが外から聞こえてくる。

07はキョトンとしているが、店主がソーダ味のアイスを07の手に握らせる。

店主「あたり が出たらもう一本。
そしたら……またここにおいで?2本はサービスするよ?」

07「うん……ありがと……おばあちゃん!!」

07はお辞儀をして退店。


ミーンミンミンミンミンミンミンミー。


店主の言った通り、もくもくとした夏らしい入道雲が空高く盛り上がっている。07は帰路を歩きながらソーダ味のアイスをかじりつく。

ガリガリガリガリ。

硬い……。

少し舐めながらアイスを溶かしていると噛み砕けるぐらいに溶け始めていた。

07「おいしい……」

程よい気候の暑さで食べるアイスは風情があった。

ガーリガリガリガリガリ。

弾けるような爽快感のあるソーダ。頭に突き抜けるような冷たさ。

……今日は夏に勝った気分である07。

残り1割辺りでアイスは溶けまくり、木製の棒からアイス汁が手にかかり、ベットベトに。

最後の一口をパクッ。

07「わくわく」

棒には……。



あたり は書かれてなかった。


しかし、棒をひっくり返して見ると文字が。


『さきに いってるよ あとから おいで』


ケース07
END
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